2017/11/06
防災・危機管理ニュース

東京都は5日、八丈島と青ヶ島において、地元町村である八丈町、青ヶ島村と合同総合防災訓練を実施。都や両町村のほか、警視庁や東京消防庁、陸上・海上・航空自衛隊、海上保安庁など約20機関・約3500名が参加した。八丈町では「八丈富士」と呼ばれる西山の噴火を想定した島外避難と南海トラフ地震および津波発生を想定した訓練を、青ヶ島村では火山性地震の発生と噴火の兆候があり、全島避難準備を開始するケースを想定した。

八丈町の底土港では西山が噴火し、島外避難を行う想定。島外避難へ渡し船を出すが、海への転落者が数名出たという条件で救出訓練を行った。東京消防庁がヘリコプターのほか水難救助隊が水上バイクやゴムボートを活用し救出。水上バイクやゴムボートで救出した転落者は港に駆けつけた救急車に収容した。海上保安庁はヘリと巡視船、海上自衛隊はヘリと護衛艦を使用し、ヘリで救出後に巡視船や護衛艦に搬送した。
また渡し船で避難者を海上保安庁の巡視船へ運ぶ連携避難訓練も行った。西山が最後に噴火したのは1605年と400年以上前にさかのぼるが、活動火山対策特別措置法における火山災害警戒地域に八丈島は指定されている。今回の訓練で得た課題は2018年度に策定予定の地域防災計画に反映する。

都立八丈高校では南海トラフ地震が発生し、八丈町で震度5強を観測。津波も発生した想定。東京消防庁や警視庁、自衛隊などによる倒壊家屋や車両からの救出訓練、火災が起こった校舎からのロープを使った脱出などを実施。最後はポンプ車からの一斉放水を行った。
八丈高校での訓練後、都の川澄俊文副知事は「八丈島の火山防災へ、今回の訓練成果を避難計画に反映させたい」と述べた。
(了)
リスク対策.com:斯波 祐介
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