2017/11/22
防災・危機管理ニュース
東京都は21日、都営調布飛行場に関しての住民説明会を調布市の調布中学校で開催した。2015年7月の墜落事故以降、自粛要請という形で発着が行われていない自家用機の安全対策について説明。都による被害者救済制度の創設や、防災対策の向上にもつながるとして大島空港で給油施設を整備し、自家用機の移転を進める方針などが示された。
2015年の事故では調布飛行場を離陸した直後の自家用機が同市内の住宅街に墜落。機長と同乗者、住民の計3人が亡くなった。都は生存した同乗者による聞き取りなど調査を実施。同飛行場では禁止されている、金銭のやり取りが伴う遊覧飛行だった可能性が高いと判断した。同飛行場では大島空港など島しょ部への定期便は再開しているが、自家用機の利用は中断している。
自家用機利用の再開を行う場合の安全対策として、都では飛行目的の確認を徹底。空港使用届出書の様式改善のほか、操縦者以外に同乗者の本人確認も実施。操縦技能維持のための慣熟飛行であれば、同乗者は操縦免許を持っているか確認するなど、遊覧飛行の防止を図る。調布飛行場の管理運営について、専門機関や有識者などによる第三者による監査を定期的に実施する。
さらに機長、整備士、運行管理者の安全講習会の受講義務化や、自家用機操縦者が離陸前に重量などを記した確認書を提出し、都が指定する専門家にチェックを受けること、必要滑走距離の基準を厳しくする「調布ルール」も自家用機に導入する。誘導路の改善などで、800mの滑走路をロスなく最大限利用できるようにする。
万が一の事故の際に備え、都による被害者救済制度も創設した。都営空港を離着陸した航空機が都内で事故を起こした場合、被害者に最大450万円の一時支援金を支出。しかし給付ではなく、損害賠償がなされた場合は賠償金から都が回収する。住宅の建て替えが必要な場合は最大2160万円を35年間無利子で貸し付ける。2015年の事故から適用する。自家用機所有者に保険加入を義務化し、都も加入状況をチェックする。現在、調布飛行場に駐機している自家用機は19機。都では大島空港で防災力の向上にもつながる給油施設や格納庫を整備し、同空港への自家用機移転を促していくという。
出席した住民からは「安全講習会を受講した操縦者名は公開してほしい」「都は事故の際は貸し付けではなく補償を行うべき」などという意見が出され、都ではできる限りの情報公開や、補償について国や保険会社と協議していくことを説明した。また7月に国土交通省の運輸安全委員会から2015年の事故原因の報告が行われたが、都では「体制整備が終わっていない」として自家用機の利用の自粛要請を継続する。
都では説明会後に報道陣に対し担当者が事故について「申請と違う目的で飛行が行われ、そのことを見抜けなかったことはおわびしたい」と空港管理者としての責任に言及。飛行目的や同乗者のチェックの徹底を説明した。調布飛行場は2020年東京オリンピック・パラリンピック会場の味の素スタジアム(大会期間中の名称は東京スタジアム)が隣接し、さらにその隣に同じく大会会場の武蔵野の森総合スポーツプラザがある。大会時については「今のところ何とも言えないが、仮に飛行制限をかける要望があれば、大会組織委員会と話し合うことになる」とした。
(了)
リスク対策.com:斯波 祐介
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