「言えない」場合は「言えない理由」を説明する
第22回目 困る質問への回答方法は?
日本リスクマネジャ-&コンサルタント協会副理事長/
広報コンサルタント
石川 慶子
石川 慶子
東京都生まれ。東京女子大学卒。参議院事務局勤務後、1987年より映像制作プロダクションにて、劇場映画やテレビ番組の制作に携わる。1995年から広報PR会社。2003年有限会社シンを設立。危機管理に強い広報プロフェッショナルとして活動開始。現在は企業・官公庁・非営利団体に対し、平時・緊急時の戦略的広報の立案やメディアトレーニング、危機管理マニュアル作成、広報人材育成、外見リスクマネジメント等のコンサルティングを提供。講演活動やマスメディアでのコメント多数。国交省整備局幹部研修、警察監察官研修10年以上実施。広報リスクマネジメント研究会主宰 https://m.umu.co/ssu_fdI99e9
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危機発生時の中で行う記者会見は、想定問答集をつくるのが一苦労です。準備する時間がなかったり、想定外の質問が来たり。想定外の質問が来ると、後で社長に「何で全て想定できなかったんだ!」と怒られたりもします。
そもそも、完璧な想定問答集を作成するのは不可能です。大切なのは、困った質問への対応方法を決めておくこと。それをどのように準備をしたらよいのか、全ての極意については書けませんが、一部をご紹介しましょう。
「言えない」場合の工夫
危機発生時には「言えない」ことが多々あります。理由は、原因を調査中であったり、確認中であったり、情報が錯そうしていたり、プライバシーに関わる事案だったりと、さまざまなケースがあるでしょう。
このような場合、広報サイドは「言えません」の回答を繰り返すしかないと考えている方も多いかもしれません。原則はその通りなのですが、そこに表現の工夫を少しだけ加えることをお勧めしたいと思います。
具体的には「それは言えません」で止めてしまうのではなく「それは言えませんが、……」と、言葉を続けてみるパターン。例えば「それは言えませんが、言えない理由は……です」「今は言えませんが、……になった時点で公表します」などとすると、多少丁寧な印象を与えることができます。
大切なことは「言えない理由を述べる」説明姿勢です。例えば「被害が拡大する」「プライバシーを侵害する」といった、明確な理由を説明すればよいのです。文章でさらっと書くと簡単なようですが、実際には、なかなか難しいといえます。