2017/12/12
防災・危機管理ニュース

国土交通省は11日、「津波防災地域づくりと砂浜保全のあり方に関する懇談会」の第3回会合を開催。津波防災地域づくりを進めるための論点整理を行った。国交省は減災対策のほか、復興事前準備を重視。被災後にすみやかに市街地復興に着手できるよう、今年度中に市町村向けに事前準備のガイドライン(指針)を策定する。
2011年の東日本大震災の教訓から、地域づくりと津波対策を一体で進めるための津波防災地域づくり法が同年に成立した。ただし津波防災地域づくり推進計画を作成したのは9月現在9市町にとどまっている。
この日の論点整理では津波被害が予想される地域において、あらかじめ復興の準備を行うことの重要性が盛り込まれた。防潮堤などハードの整備を行っても被害を完全に防ぐことはできないと判断し、それに加えて減災対策と復興事前準備を行うことを提言。減災対策では避難地や避難路の整備や避難訓練といった発災直後に役立つ備えを行い、復興事前準備では防災・減災を行っても被害は避けられないとの前提で、迅速な復旧・復興に向けまちづくりのイメージトレーニングなど準備を行う。
国交省では2016年に「津波被害からの復興まちづくりガイダンス」を策定。事前準備にも触れているが、新たなガイドラインで市町村向けに復興体制と復興手順を検討させ、地域防災計画と都市マスタープランに復興事前準備を位置づける取り組みを促す。東日本大震災と2016年の熊本地震を教訓とした実際の復興まちづくり作業内容のほか、事前準備の取り組み内容を先進的自治体の事例から提示する方針。
(了)
リスク対策.com:斯波 祐介
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