2017/12/20
防災・危機管理ニュース

東京都は19日、「女性の視点からみる防災人材の育成検討会議」の第4回会合を開催。報告書のとりまとめを行った。職場や地域の避難所で災害時に活躍できる女性人材「防災コーディネーター」の育成へ基礎編と応用編のカリキュラムを、働く女性向けと主に居住地域にいる主婦など向けにそれぞれ行う。2018年度に開始する。
目指す人材像としては(1)自らの身を守るために必要な知識を身につけている(2)身につけた知識に基づき、適切な行動をとることができる(3)周囲の人をけん引するコミュニケーション能力を身につけている。これらを身につけた女性を「防災コーディネーター」に位置づける。都外からの勤務者も多く昼間人口が多い東京の特性から、職場と地域に分けた人材育成を行う。
育成講座は基礎編である「ウーマンセミナー」と応用編の「防災コーディネーター育成研修会」を職場向けと地域向けのコースにそれぞれ分けて行う。基礎編は職場や地域にいるときに災害が起きた場合、自分の身に何が起こるのか、どうやって身を守るかを学ぶ。例えば被災時にどのような行動をすべきか、職場向けなら会社で帰宅困難者になってしまった場合はむやみに帰宅しようとせず、3日間は会社にとどまることが重要なこと、地域向けなら避難所生活に関する知識などを学ぶ。
応用編では、職場や避難所においての助け合いやコミュニケーションなどを学ぶ。職場であれば被災後3日間会社内にとどまるとして、生まれてくるニーズに従業員同士で対応することや、会社外の帰宅困難者を受け入れる際の判断や準備、被災後も事業継続のため働く際の仕事と家庭との両立などについて考える。地域であれば避難所の運営の知識や防犯、衛生管理、健康維持や物資の配布などについて学ぶ。また、男性が指導的役割、女性が炊き出しや掃除といった避難所における固定的な性別役割の解消を目指す。
(了)
リスク対策.com:斯波 祐介
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