2017/12/27
防災・危機管理ニュース

東京都は26日、「東京都商品等安全対策協議会」の今年度第3回会合を開催。子どものベランダからの転落防止のための手すりの安全対策について、報告書素案を提示した。手すりの高さを1100mm以上としたり笠木を手前にずらしたりといった商品そのものの安全対策や、エアコンの室外機などベランダの周辺環境にも配慮すべきとした提言を行う方針。
子どもが住宅のベランダの手すりを越えたり、手すりの隙間をすり抜けたりしての転落防止を図る。この検討のため、国立研究開発法人・産業技術総合研究所による2歳・4歳・6歳の各7人による実証実験を実施。1100mmの高さの手すりに、足がかり部分や手のかかる部分である笠木の位置や太さといった条件を変え、子どもが上までよじ登れるか検証した。
実験結果やこれまでの事故分析や協議会での議論を踏まえ、提言案をまとめた。手すりの高さは1100mm以上、さらに安全性に配慮して1200mm以上とすることも検討するとした。足がかりの上端からの手すりの高さは700mm程度では危険と指摘。住宅部品評価を行っている一般財団法人ベターリビングのガイドラインから、800mm以上、できれば900mm以上が望ましいとした。また指が入る隙間をなくすなど、足がかりの形状についても指摘している。
笠木は4歳児の実証実験で手前に10cmずらすことでよじ登り抑止の効果が見られたことから、周辺環境に配慮しつつ、ずらすことを推奨する。手すりの格子間の隙間は110mm以下、手すり下部の隙間は90mm以下とし、子どものすり抜けを防止する。JIS(日本工業規格)への盛り込みも視野へ検討を進めることも盛り込む。

周辺環境ではエアコンの室外機が子どもの足がかりになる危険性が高いことを指摘。手すりから60cm以上離して設置することや、上から吊るす、戸建てであれば1階に置くといった対策をとるよう提言した。
都が把握している2007年以降の子どものベランダからの転落による救急搬送もしくは受診の事例は145件。うち死亡は2件あるという。同協議会には都や住宅・建材の関係者や有識者のほか、オブザーバーとして国から国土交通省、経済産業省、消費者庁の関係者も参加している。同協議会では2018年2月に報告書をとりまとめる予定。
(了)
リスク対策.com:斯波 祐介
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/08/26
-
-
ゲリラ雷雨の捕捉率9割 民間気象会社の実力
突発的・局地的な大雨、いわゆる「ゲリラ雷雨」は今シーズン、全国で約7万8000 回発生、8月中旬がピーク。民間気象会社のウェザーニューズが7月に発表した中期予想です。同社予報センターは今年も、専任チームを編成してゲリラ雷雨をリアルタイムに観測中。予測精度はいまどこまで来ているのかを聞きました。
2025/08/24
-
スギヨ、顧客の信頼を重視し代替生産せず
2024年1月に発生した能登半島地震により、大きな被害を受けた水産練製品メーカーの株式会社スギヨ(本社:石川県七尾市)。その再建を支えたのは、同社の商品を心から愛する消費者の存在だった。全国に複数の工場があり、多くの商品について代替生産に踏み切る一方、主力商品の1つ「ビタミンちくわ」に関しては「能登で生産している」という顧客の期待を重視し、あえて現地工場の再開を待つという異例の判断を下した。結果として、消費者からの強い支持を受け、ビタミンちくわは過去最高近い売り上げを記録している。一方、BCPでは大規模な地震などが想定されていないなどの課題も明らかになった。同社では今、BCPの立て直しを進めている。
2025/08/24
-
-
-
-
ゲリラ豪雨を30分前に捕捉 万博会場で実証実験
「ゲリラ豪雨」は不確実性の高い気象現象の代表格。これを正確に捕捉しようという試みが現在、大阪・関西万博の会場で行われています。情報通信研究機構(NICT)、理化学研究所、大阪大学、防災科学技術研究所、Preferred Networks、エムティーアイの6者連携による実証実験。予測システムの仕組みと開発の経緯、実証実験の概要を聞きました。
2025/08/20
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方