2018/01/12
防災・危機管理ニュース

国土交通省は11日、さいたま市と共催で同市内の佐川急便さいたま営業所において、避難所までの災害時支援物資輸送訓練を実施した。佐川急便のほか陸上自衛隊や埼玉県トラック協会も協力。「ラストワンマイル」と称される災害時の課題である集積拠点から避難所までの輸送を想定し実施した。国交省による民間物流施設を使った大規模な輸送訓練は初めてという。
訓練は埼玉県熊谷市の広域拠点から佐川急便さいたま営業所を中継し、市内4カ所の避難所に物資を輸送する想定で実施した。10tトラックで救援物資である毛布、アルファ化米、子ども用と大人用の紙おむつ、排便袋を輸送。荷下ろししベルトコンベヤーで4台の2tトラックに詰め込んだ。陸路以外に、陸自のヘリも使い輸送。同営業所の駐車場に着陸後、大型トラックで物資を営業所に運び、先の陸路で輸送したものと同様にベルトコンベヤーで2tトラックに詰め込んだ。詰め替え作業終了後、トラックはそれぞれ指定された避難所に向け出発した。

佐川急便はさいたま市と災害時に関する協定を締結している。また、国交省では災害時に備え約1400カ所の民間物流拠点をリストアップ。「ラストワンマイル」解消に向け注力している。国交省の重田雅史・物流審議官は訓練終了後、2016年の熊本地震の際の避難所までの物資輸送の課題として(1)集積拠点の不足(2)物流ノウハウの不足(3)オペレーションの錯そう―を指摘。「民間施設の利用が特に集積拠点やノウハウ不足のクリアに役立つ」と述べた。また被災から2週間程度経つと避難所ごとの多様なニーズが生じることへの対応も必要となることから、さらなるレベルアップが必要としたうえで、「国と都道府県や市、さらには官民がうまく連携していくことが重要だ」と説明した。
(了)
リスク対策.com:斯波 祐介
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