宮城県石巻市で東日本大震災の津波により全事業所が被災し、その後、事業継続マネジメントシステム(BCMS)の国際規格ISO22301の認証を取得した中小企業の白謙蒲鉾店。

人命第一の防災を最優先に、地震災害だけでなく、ゲリラ豪雨、感染症、事故、テロなどさまざまな事象まで想定し、年間50回を超える演習を行い、危機管理力を高めている。食品製造会社である同社がなぜ、これほど危機管理にこだわり続けるのか、どのように社員のモチベーションを高めているのか。そこからは、BCPを組織に定着させるヒントを垣間見ることができる。

同社のBCM推進責任者の白出雄太常務取締役に聞いた。

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株式会社白謙蒲鉾店

大正元年創業。魚肉練製品の製造販売業を行う。石巻市に3工場を持ち、宮城県内に25店を構える地場企業。東日本大震災の津波で全事業所が被災し、3年後の2014年2月に ISO22301:2012を認証取得した。焼き物、揚げ物など計40品目ほどのかまぼこを製造している。2015年には現上皇上皇后両陛下が同店舗を視察した。


Q. 東日本大震災の後、本格的にBCPに取り組み、2014年には事業継続マネジメントシステムISO22301まで認証取得されています。東日本大震災より前は、危機管理に関して何か取り組みをされていたのでしょうか?
もともと(私の父である)会長が危機管理に関して、プロフェッショナルなくらい徹底されている方でした。

Q. 理由は何ですか?
会社経営の厳しさを知っていたのだと思います。私の祖父が早くに亡くなり、26歳から社長を務めたことから、どうやって商売をすると駄目になるのかという持論があり、経営全般に関すること、宮城県沖地震やチリ津波などの自然災害に関するさまざまな事例などを小さなころから茶の間や現場で教えていただいておりました。特に新規出店については慎重で、「製造の現場がしっかりできる状況にならない限り、出店してはいけない」と口を酸っぱく言っておりました。

画像を拡大 インタビューに応じる白出常務