2018/02/06
防災・危機管理ニュース
東京都と台東区は5日、合同帰宅困難者対策訓練を上野駅や上野恩賜公園とその周辺で実施。外国人約270人を含む約650人が参加した。アメ横商店街の大型ビジョンを利用した誘導や東京都美術館など想定される一時滞在施設でのオペレーションといった内容の訓練が実施された。
首都直下地震で上野駅や周辺で多数の帰宅困難者が生じたという設定で行われた。まず参加者を、面積が約53haある上野公園に集めることから実施。アメ横商店街や上野動物園から参加者を誘導した。アメ横商店街では約100人に対し、大型ビジョンを用いて日本語・英語・中国語・韓国語・インドネシア語で情報を提供。上野公園への誘導を行った。上野動物園からは約100人を係員が先導し誘導した。
その後、想定される一時滞在施設に参加者を迎えた。そのうちのひとつの東京都美術館では外国人も含め約100人を受け入れた。外国人にはメガホン型翻訳機「メガホンヤク」で説明。講堂内で滞在者カードの記入をさせ、これと交換で水、乾パン、アルミブランケットの配布を行った。アルミブランケット使用法の説明を情報通信研究機構(NICT)開発の多言語対応スマートフォンアプリ「VoiceTra(ボイストラ)」で行ったほか、携帯電話による安否情報登録の方法、デジタルサイネージに表示される災害時帰宅困難者支援ステーションや公共交通機関の再開情報といった情報の説明も行われた。
東京都の川澄俊文副知事は訓練後の講評で「首都直下地震が起こった場合、都内で約517万人の帰宅困難者が生じると言われている。そうなると行政のみでの対応が困難で、社会全体で取り組む必要がある。備蓄や安否確認の取り決めといった、事前の準備を行ってほしい」と訴えた。
都ではこれまで豊島区、千代田区、渋谷区とも合同で帰宅困難者対策訓練を実施。上野駅は巨大ターミナル駅であり、今回は台東区と訓練を行った。外国人観光客が多いエリアであり、多言語での情報発信や一時滞在施設での外国人とのコミュニケーションに注力したという。一時滞在施設については、東京都美術館のような公共施設のほか、区と協定を結んでいる民間施設もあり、万が一の場合、安全性の確認ができ備蓄など準備が整っている施設で帰宅困難者の受け入れを行う。
首都直下地震が起こった場合、都では上野駅周辺で約2万2000人の帰宅困難者の発生を見込んでいる。都では有識者による帰宅困難者対策検討会議の報告書を近くとりまとめ、その後に実務ベースでの対応を検討していく。
■関連記事「一時滞在施設管理者免責で補償検討も」
http://www.risktaisaku.com/articles/-/4435
(了)
リスク対策.com:斯波 祐介
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