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かつて本連載で、世界有数の保険会社であるAllianzが毎年発表している「Allianz Risk Barometer」の2017年版を紹介させていただいた(注1)。これは同社の法人顧客やブローカー、リスクコンサルタントなどを対象として実施したアンケート調査に基づいて、今後警戒すべきリスクのランキングをまとめたものである。2021年1月にその最新版が発表されたので、本稿ではこちらを紹介させていただく。

なお、今回の調査は2020年10月から11月の間に行われ、92カ国の2769人から回答が得られているという。

報告書のトップに掲載されているのは、グローバルビジネスにおいて最も重要なリスクのトップ10であり、次のようになっている(複数回答のため合計は100%にならない)。

1. 事業中断(Business Interruption)    41%
2. 急激なパンデミック(Pandemic outbreak)    40%
3. サイバー・インシデント(Cyber incidents)    40%
4. 市場の状況(Market developments)    19%
5. 法規制の変化(Changes in legislation and regulation)    19%
6. 自然災害(Natural catastrophes)    17%
7. 火災・爆発(Fire, explosion)    16%
8. マクロ経済の状況(Macroeconomic developments)    13%
9. 気候変動・不安定な気象現象の増加(Climate change/increasing volatility of weather)    13%
10. 政治的リスクや暴動(Political risks and violence)    11%

中でも上位3位までは4位以下を大きく引き離しており、かつ相互に関連があるため、本報告書では「THE COVID TRIO」と称されているが、本連載をよくお読みいただいている方や、この手の調査報告書をよく読まれている方々にとっては、これらがトップ3になることに関しては、意外性はないであろう。

パンデミックに伴う在宅勤務やリモート会議などの急激な増加によって、サイバー攻撃や情報漏えいなど情報セキュリティー面のリスクが高まっていることは、多くの調査で指摘されている。またパンデミックの影響で物流が滞ったり、サプライチェーンに含まれる企業がロックダウンの影響などで稼働停止したために、事業中断に陥ったという企業もある。このような関連があることも踏まえて「THE COVID TRIO」と呼ばれている。

ちなみに2位の「急激なパンデミック」は前回調査では17位であり、今回のトップ10の中で、11位以下からランクインしたのは唯一これだけである。