2018/02/23
防災・危機管理ニュース
気象庁は2030年を見すえAI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)といった最新技術による防災情報活用の向上を目指す。22日、交通政策審議会の第25回気象分科会を開催。気象業務の現状と科学技術の進歩を見すえた方向性について話し合われた。
2030年の防災のイメージとして、台風や大雨、火山噴火の兆候といった予測データを避難所や避難ルートといったビッグデータと組み合わせ避難活動に生かす、AI翻訳を活用した外国人向けアプリの利用、地方自治体や防災関係機関への早期の正確な情報提供による体制確保や避難指示などを想定している。
2030年の科学技術を見すえ、観測・予測精度の向上に取り組む。観測・監視では衛星やレーダー以外にセンサーや死角をできるだけなくすカメラ監視網、AIやIoTを活用した豪雨や噴火の兆しなどの検出や速報技術の向上を目指す。
直近では気象特性や災害リスクを共有するための「気象防災データベース」を整備する。災害時に「気象防災対応支援チーム(仮称)」の派遣を2018年度以降に行う。気象台長と市町村長の関係構築や災害時のホットラインといった取り組みも進める。6月にスーパーコンピュータを更新予定。2019年に2週間気温予報を開始する方針となっている。
出席した委員からは「最近の大雪では電車や車の立ち往生といった事態も生じている。事業者との積極的な連携が必要ではないか」といった意見や、1月の群馬県の草津白根山の噴火についても質問が出た。草津白根山については噴火速報が出なかったが、気象庁では目撃者の通報でも発表できるように改善する方針で、内閣府と調整を行う。気象庁の橋田俊彦長官は同分科会で「災害情報の提供だけでなく、市民への安全知識の普及・啓発によるリテラシー向上にも努めたい」と述べた。
(了)
リスク対策.com:斯波 祐介
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