新たな感染症や国際化など環境の変化への対応を進める

東京都は23日、「東京都感染症予防医療対策審議会」の今年度第3回会合を開催。東京都感染症予防計画の改定内容を答申した。今年度内に改定する。2017年3月に国の感染症予防の基本指針が改められたのを受け、都でも2008年3月に策定された現計画改定のため審議を進めていた。エボラ出血熱など国内未発生の感染症やデング熱など蚊媒介感染症への対策が盛り込まれた。

計画の正式名称は「東京都の感染症の予防のための施策の実施に関する計画」。答申では特に総合的に予防施策を推進すべき感染症対策として(1)新型インフルエンザ等(2)結核(3)HIV/エイズ、性感染症(4)一類感染症(5)蚊媒介感染症(6)麻しん・風しん―を盛り込んだ。一類感染症はエボラ出血熱や中東呼吸器症候群(MERS)など国内未発生の感染症が東京でも発生するリスクは高まっているとし、感染症指定医療機関や関係機関との連携、訓練や感染防止資器材の整備支援を実施。患者の受け入れや院内感染の防止、医療提供を円滑・安全に行えるよう備える。

蚊媒介感染症では2014年に東京でもデング熱の国内感染が発生したほか、ジカ熱の症例も発見されている。蚊の発生を抑えるほか、患者の早期把握や対応強化を図る。性感染症では梅毒の患者報告数が急増していることに触れ、性感染症に感染するとHIV感染リスクも高まることから、HIV/エイズ対策と一体となった対策推進を盛り込んだ。

このほか基本的な考え方として、患者への人権の尊重を盛り込んだ。保健所による入院措置や感染した可能性がある人の健康状態の報告の要請などは必要最小限度とする。災害時は感染症が起こりやすいことから、2011年の東日本大震災や2016年の熊本地震の経験もふまえ、事前の備えや住民への普及・啓発を行うほか、発災時は都や区市町村による防疫措置などでまん延を防ぐ。国際化対応として、大使館や検疫所など関係機関との連携を強化。感染症防止情報や受診方法などを多言語で提供していく方針。

(了)

リスク対策.com:斯波 祐介