2018/02/26
防災・危機管理ニュース

東京都は23日、「東京都感染症予防医療対策審議会」の今年度第3回会合を開催。東京都感染症予防計画の改定内容を答申した。今年度内に改定する。2017年3月に国の感染症予防の基本指針が改められたのを受け、都でも2008年3月に策定された現計画改定のため審議を進めていた。エボラ出血熱など国内未発生の感染症やデング熱など蚊媒介感染症への対策が盛り込まれた。
計画の正式名称は「東京都の感染症の予防のための施策の実施に関する計画」。答申では特に総合的に予防施策を推進すべき感染症対策として(1)新型インフルエンザ等(2)結核(3)HIV/エイズ、性感染症(4)一類感染症(5)蚊媒介感染症(6)麻しん・風しん―を盛り込んだ。一類感染症はエボラ出血熱や中東呼吸器症候群(MERS)など国内未発生の感染症が東京でも発生するリスクは高まっているとし、感染症指定医療機関や関係機関との連携、訓練や感染防止資器材の整備支援を実施。患者の受け入れや院内感染の防止、医療提供を円滑・安全に行えるよう備える。
蚊媒介感染症では2014年に東京でもデング熱の国内感染が発生したほか、ジカ熱の症例も発見されている。蚊の発生を抑えるほか、患者の早期把握や対応強化を図る。性感染症では梅毒の患者報告数が急増していることに触れ、性感染症に感染するとHIV感染リスクも高まることから、HIV/エイズ対策と一体となった対策推進を盛り込んだ。
このほか基本的な考え方として、患者への人権の尊重を盛り込んだ。保健所による入院措置や感染した可能性がある人の健康状態の報告の要請などは必要最小限度とする。災害時は感染症が起こりやすいことから、2011年の東日本大震災や2016年の熊本地震の経験もふまえ、事前の備えや住民への普及・啓発を行うほか、発災時は都や区市町村による防疫措置などでまん延を防ぐ。国際化対応として、大使館や検疫所など関係機関との連携を強化。感染症防止情報や受診方法などを多言語で提供していく方針。
(了)
リスク対策.com:斯波 祐介
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/10/14
-
走行データの活用で社用車をより安全に効率よく
スマートドライブは、自動車のセンサーやカメラのデータを収集・分析するオープンなプラットフォームを提供。移動の効率と安全の向上に資するサービスとして導入実績を伸ばしています。目指すのは移動の「負」がなくなる社会。代表取締役の北川烈氏に、事業概要と今後の展開を聞きました。
2025/10/14
-
-
-
-
トヨタ流「災害対応の要諦」いつ、どこに、どのくらいの量を届ける―原単位の考え方が災害時に求められる
被災地での初動支援や現場での調整、そして事業継続――。トヨタ自動車シニアフェローの朝倉正司氏は、1995年の阪神・淡路大震災から、2007年の新潟県中越沖地震、2011年のタイ洪水、2016年熊本地震、2024年能登半島地震など、国内外の数々の災害現場において、その復旧活動を牽引してきた。常に心掛けてきたのはどのようなことか、課題になったことは何か、来る大規模な災害にどう備えればいいのか、朝倉氏に聞いた。
2025/10/13
-
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2025/10/05
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方