写真を拡大 2月の全国企業倒産件数調査より。直近の倒産件数月次推移(出典:東京商工リサーチ資料)

東京商工リサーチは8日、2月の全国企業倒産状況を発表した。これによると負債額1000万円以上の倒産企業件数は617件、負債総額は899億7900万円だった。倒産件数は前年同月比10.3%減(71件減)で2カ月ぶりに前年同月を下回り、2月では1990年の448件以来の低水準だった。一方で、倒産企業はすべて中小企業基本法における中小企業が100%を占める状況。都道府県別では前年同月より増加が22府県、減少が21都道府県と6カ月連続で増加が減少を上回っており、全国的には中小企業を中心に倒産減少の底打ちの動きを持続している。

負債総額は前年同月比22.3%減(258億5500万円減)で2カ月連続で前年同月を下回った。負債10億円以上の大型倒産が12件(前年同月24件)と半減した一方で、負債1億円未満が462件と全体の74.8%。従業員5人未満の中小零細企業の割合も74.7%と、全体の7割を超えた。中小企業基本法に基づく中小企業(製造・建設・運輸業などの場合で、資本金3億以下、従業員300人以下)の割合は2カ月連続で100%を占めた。上場企業の倒産は2017年9月の(株)郷鉄工所(岐阜)以来、5カ月連続発生していないという。

都道府県別の倒産件数は、前年同月を上回ったのが22府県、減少が21都道府県、同数が4県だった。6カ月連続で増加が減少を上回り、これはリーマン・ショックがあった2008年6月から2009年3月までの10カ月連続以来のこと。倒産件数20件以上の都道府県は、増加したのが京都140.0%増(24件)、静岡22.2%増(22件)、兵庫20.0%増(36件)、埼玉13.3%増(34件)など。減少したのが東京32.9%減(112件)、神奈川26.8%減(30件)、大阪12.5%減(84件)、愛知11.6%減(38件)となった。

緩やかな景気の回復に向かう中で、中小企業にとっては厳しい経営環境が続いている。人手不足感が高まり、賃金アップの要請が収益を圧迫しつつある。さらに、経営者の高齢化、事業承継の遅れなど課題も多い。

■ニュースリリースはこちら
http://www.tsr-net.co.jp/news/status/monthly/201802.html

(了)

リスク対策.com:峰田 慎二