2021/06/03
ニューノーマル時代の労務管理のポイント
4. 男性の育児休業取得促進のポイント
日本労働組合総連合会が実施した「男性の育児等家庭的責任に関する意識調査2020」では、育児休業を取得できなかった理由または取得しなかった理由について、「仕事の代替要員がいない」が44.4%と最も高く、「収入が減る」「取得できる雰囲気がない」「取得するものではないと思う」「仕事のキャリアにブランクができる」と続きます。
中小企業では、限られた人員で業務を担っているケースが少なくありません。だからといって、代替要員がいないことや業務が滞ることを理由に育児休業の取得を拒むことはできません。また、育児休業の申請を拒否したり、取得したことを理由に不利益な取り扱いをしたりすることは、男女雇用機会均等法や育児介護休業法が禁止する「マタニティーハラスメント」に当たります。企業としては、男性の育児休業の取得が進まない原因を理解した上で、課題解決に向けた措置を講じることが必要とされます。
男性の育児休業取得促進に向けた具体的な取り組みとしては、主に次の事項が挙げられます。
(1)育児休業制度について周知する
育児休業制度について理解していない労働者は少なくないため、まずは自社の育児休業制度を従業員に周知する必要があります。育児休業の取得を推進するポスターを掲示したり、社内報で育児休業の活用事例を紹介したりすることも周知を図る上で有効です。
(2)相談窓口などを設置する
育児休業の取得については、具体的事情に基づいて検討する必要があることから、希望者が個別に相談できる窓口を設置するのも一案です。
(3)業務マニュアルを作成する
業務マニュアルを作成して、業務の引き継ぎをスムーズに行える体制を整えることは、育児休業の取得率を上げるだけなく、業務効率の向上にもつながります。
なお、育児休業取得促進については、厚生労働省の「両立支援等助成金制度」や東京しごと財団の「働くパパママ育休取得応援奨励金」などがあるので、こうした制度を積極的に活用するとよいでしょう。
ニューノーマル時代の労務管理のポイントの他の記事
おすすめ記事
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/09/02
-
-
-
ゲリラ雷雨の捕捉率9割 民間気象会社の実力
突発的・局地的な大雨、いわゆる「ゲリラ雷雨」は今シーズン、全国で約7万8000 回発生、8月中旬がピーク。民間気象会社のウェザーニューズが7月に発表した中期予想です。同社予報センターは今年も、専任チームを編成してゲリラ雷雨をリアルタイムに観測中。予測精度はいまどこまで来ているのかを聞きました。
2025/08/24
-
スギヨ、顧客の信頼を重視し代替生産せず
2024年1月に発生した能登半島地震により、大きな被害を受けた水産練製品メーカーの株式会社スギヨ(本社:石川県七尾市)。その再建を支えたのは、同社の商品を心から愛する消費者の存在だった。全国に複数の工場があり、多くの商品について代替生産に踏み切る一方、主力商品の1つ「ビタミンちくわ」に関しては「能登で生産している」という顧客の期待を重視し、あえて現地工場の再開を待つという異例の判断を下した。結果として、消費者からの強い支持を受け、ビタミンちくわは過去最高近い売り上げを記録している。一方、BCPでは大規模な地震などが想定されていないなどの課題も明らかになった。同社では今、BCPの立て直しを進めている。
2025/08/24
-
-
-
-
ゲリラ豪雨を30分前に捕捉 万博会場で実証実験
「ゲリラ豪雨」は不確実性の高い気象現象の代表格。これを正確に捕捉しようという試みが現在、大阪・関西万博の会場で行われています。情報通信研究機構(NICT)、理化学研究所、大阪大学、防災科学技術研究所、Preferred Networks、エムティーアイの6者連携による実証実験。予測システムの仕組みと開発の経緯、実証実験の概要を聞きました。
2025/08/20
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方