2018/03/16
防災・危機管理ニュース

消防庁は15日、「消防指令システム等の相互接続に関する研究会」の第4回会合を開催。メーカーごとに異なる消防指令システムと消防救急無線の相互接続の仕様の標準化へ中間とりまとめが行われた。どちらかのシステムが新規メーカーとなる場合の接続のための事業をシステム開発から分離することや、共通インターフェース仕様の公開などが盛り込まれた。
消防本部と消防・救急隊を結ぶ消防救急無線は2016年にデジタル化を完了。119番通報を受ける電話網や防災情報システム、消防OAシステムとも消防救急無線は接続されている。しかし消防指令システムと消防救急無線の相互接続の仕様がメーカーごとに違うことが明らかとなり、制御や通信の方式が既設メーカーしかわからないと今後の通信に支障をきたす可能性があることから、インターフェースの標準化を行う。
中間とりまとめでは例えば消防指令システムは既設のまま、消防救急無線を新規とする場合、両者を接続するために中間サーバーや既設システム改修が必要となる。もし、新規システムを作る受注者が既設設備に合わせた接続を義務づけられたり、改修費用や責任を負ったりすることになると、事実上入札に参加することが困難となる。このため、中間サーバー設置など接続に必要な事業は、システム開発とは別の事業として切り分けて行う。さらに中間サーバー設置や既設システム改修にあたり、費用を抑えられるようむだな独自機能の検証などに努める。
また、異なるメーカーでの相互接続性確保や新規参入を阻害しないよう、共通インターフェースに関する情報を原則として公開する方針。今後の技術進展や地域事情もあり、消防本部が共通インターフェースに盛り込まれていない独自機能を拡張する可能性も考えられる。このため、独自機能のインターフェースについては、5年ごとなど定期的に見直し、新たな機能についての規定を追加していく。
今後、通信会社で構成する一般社団法人・情報通信技術委員会(TTC)で、相互接続試験を実施。共通インターフェース仕様をまとめ、2018年度末に検討会が最終報告に盛り込む予定となっている。
(了)
リスク対策.com:斯波 祐介
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