2018/03/29
防災・危機管理ニュース
東京都は28日、「特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化促進に向けた検討委員会」の第7回会合を開催。地震時に輸送上重要で、道路倒壊による閉塞を防がないといけない特定緊急輸送道路の沿道建築物の耐震化促進策のとりまとめを行った。耐震性を満たさない建物をホームページなどを通じて公表するほか、建物所有者への指導も強める。また、賃貸物件の賃借人の移転費用など経費支援の仕組みづくりの検討も盛り込む。
都内の沿道建築物は1万8453棟で、2017年12月末時点での耐震化率は83.8%。耐震性が不足している建築物は2852棟、未診断が141棟ある。都が耐震性を満たしていない建物所有者1062件を対象に行ったアンケート調査でも53.5%が「耐震改修等を実施しない」と回答するなど、費用面などがネックでなかなか進まない現状がある。
促進策では耐震診断を行ったが、改修など施策に着手していない建築物を公表する方針を盛り込む。都では現在、都条例で義務づけられた耐震性診断を行っていない建物の所在地や名称をホームページで公表している。同様の取り組みを耐震化を行わない建築物に対しても行う方針。耐震改修促進法で特定緊急輸送道路沿道建築物について、耐震診断結果の報告を義務づけ、公表に関しても定めていることを根拠としている。
また賃貸建築物の賃借人など占有者が移転しないと耐震化が進まない場合もある。そのため、占有者の協力を引き出すため、移転費用や移転先の家賃といった経費の一部を補助できる仕組みづくりも検討についても盛り込む。
費用負担や分譲マンションの場合は区分所有者の合意形成が難しいことから、1回の工事でなく、複数回に分けた工事で耐震性を上げる段階的改修の普及にも注力。現在は段階的改修に対し補助を行っているのは5区市町村にとどまっている。助成の導入を区市町村に働きかける方針。
(了)
リスク対策.com:斯波 祐介
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