2018/04/11
防災・危機管理ニュース

ソフトバンク・テクノロジーとサイバートラストは10日、建物制御システムのセキュリティ脆弱性診断について実際のオフィスビルを使った実証実験の結果を公表した。実験の結果、インターネットを経由した社外からの侵入は防御できたものの、社内から中央制御システムには侵入できる可能性があり、電力・空調・照明システムにも被害を及ぼす可能性があることが判明。結果を踏まえて2社はビルIT向けのセキュリティ技術に特化した共同開発を進める。
実証実験は、竹中工務店所有ビルにて実施。オフィスビルに設置されているデバイスや設備を制御するコントローラー機器、ネットワークに潜む脆弱性を検出し、実際に侵入、攻撃を試みたる脆弱性診断を行い、不正アクセス、情報漏えい、データ改ざん、サービス停止攻撃などの脅威について調査した。
実験の結果、インターネットを経由した社外から社内への不正アクセスやマルウェア感染は防御できたものの、社内執務室の情報系ネットワークから制御ネットワークへの侵入は、時間をかけて攻撃を実施することで侵入される可能性があることが判明した。さらに制御中央室内から診断テストでも管理サーバや制御コントローラーへの侵入が可能で、これを踏み台にして電力・空調・照明などビル制御機器をダウンさせるなど被害を及ぼす可能性があることが判明した。
結果を受けて、ソフトバンク・テクノロジーとサイバートラストの2社は、ビルの電力・空調、防災・防犯、エレベーターなど多様な設備機器の監視・管理・制御をITで管理するビルディングオートメーションシステムのセキュリティソリューションについて共同開発を推進していくという。
■ニュースリリースはこちら
http://www.softbanktech.co.jp/corp/news/press/2018/014/
(了)
リスク対策.com:峰田 慎二
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/07/01
-
-
-
「ビジネスイネーブラー」へ進化するセキュリティ組織
昨年、累計出品数が40億を突破し、流通取引総額が1兆円を超えたフリマアプリ「メルカリ」。オンラインサービス上では日々膨大な数の取引が行われています。顧客の利便性や従業員の生産性を落とさず、安全と信頼を高めるセキュリティ戦略について、執行役員CISOの市原尚久氏に聞きました。
2025/06/29
-
-
-
柔軟性と合理性で守る職場ハイブリッド勤務時代の“リアル”な改善
比較サイトの先駆けである「価格.com」やユーザー評価を重視した飲食店検索サイトの「食べログ」を運営し、現在は20を超えるサービスを提供するカカクコム(東京都渋谷区、村上敦浩代表取締役社長)。同社は新型コロナウイルス流行による出社率の低下をきっかけに、発災時に機能する防災体制に向けて改善に取り組んだ。誰が出社しているかわからない状況に対応するため、柔軟な組織づくりやマルチタスク化によるリスク分散など効果を重視した防災対策を進めている。
2025/06/20
-
サイバーセキュリティを経営層に響かせよ
デジタル依存が拡大しサイバーリスクが増大する昨今、セキュリティ対策は情報資産や顧客・従業員を守るだけでなく、DXを加速させていくうえでも必須の取り組みです。これからの時代に求められるセキュリティマネジメントのあり方とは、それを組織にどう実装させるのか。東海大学情報通信学部教授で学部長の三角育生氏に聞きました。
2025/06/17
-
-
入居ビルの耐震性から考える初動対策退避場所への移動を踏まえたマニュアル作成
押入れ産業は、「大地震時の初動マニュアル」を完成させた。リスクの把握からスタートし、現実的かつ実践的な災害対策を模索。ビルの耐震性を踏まえて2つの避難パターンを盛り込んだ。防災備蓄品を整備し、各種訓練を実施。社内説明会を繰り返し開催し、防災意識の向上に取り組むなど着実な進展をみせている。
2025/06/13
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方