2018/04/26
熊本地震から2年、首長の苦悩と決断
慌てずに落ち着いて対応する
益城町や西原村などに比べると、当町はそれほど大きな被害を受けないですみました。
過去に水害の被災経験は何度もあるのですが、地震は初めてでした。避難所を開設するといっても、台風のときにちょっと避難所を提供するという感じでしたが、今回は長期間にわたって避難所生活をすることになるため、職員には「お金のことは気にせず、被災された皆さんがちゃんと生活ができるように十分な対応をするように」と指示をしました。最初は、どの程度の規模の災害なのかもよくわかりませんので、とにかく「慌てずに落ち着いて対応しなさい」ということを言ったと記憶しております。トップが慌てると住民は不安感を持ちますので、落ち着いて対応しないといけないというのが私の考えです。
最初に必要となる水・食料品の備蓄については、それほどできていませんでした。地元の企業と災害時応援協定を結んでおり、水や食料、その他必要な物資を提供いただくことになっていたのですが、今回は輸送ルートも寸断され、協定を締結した企業も被災してしまいました。教訓として、災害の応援協定は、ある程度距離が離れたところと結んでおいたほうがいいと感じました。14日の前震は、ほとんど被害はなかったのですが、16日未明の地震では、避難所に来る人が多くなって、水や食料が足りなくなりました。ただし、夜からは次第に、弁当やパン、学校の給食センターでつくったおにぎりなどが確保できるようになってきました。
また、物資の提供だけでなく、災害の状況や支援の情報なども提供しないと住民からは不安に思われてしまうので、的確に情報提供することも心がけました。
議員にも出席を要請
4月18日には、町の災害対策本部と、地域の区長や消防団、さらに町議会議員も呼んで合同会議を開催しています。議員から個別に要望があがってくると、執行部も対応が大変ですし、そもそも、こういう非常事態においては、議員も地域の一員として、議会と執行部が同じ情報を共有し、方向性を合わせて、一緒に取り組んでいくことが大事だと思い、合同会議を行いました。

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