2016/03/24
誌面情報 vol54
アイソレーション技術を搭載した「Menlo Security」
マクニカネットワークス株式会社、株式会社ラック

マクニカネットワークス株式会社と株式会社ラックは、Web閲覧によるサイバー攻撃からページのコンテンツを無害化するアイソレーション(分離)技術を搭載した「MenloSecurity」に関する記者発表を開催した。
Web技術は情報の収取や電子商取引などあらゆる領域で活用され、インターネットの技術を支える根幹となっている。一方で、Webの脆弱性をついたサイバー攻撃は後を絶たない。現在ではこれらの脅威に対抗するにはウイルス対策ソフトやソフトウェアの脆弱性を解消するアップデートなどが一般的だが、最近流行している正規のWebサイトを改ざんし、標的とする特定のWebサイト閲覧者だけにウイルスを配布する「水飲み場型攻撃」の登場により、ウイルス対策ソフトでは発見困難な脅威が頻出している。
デバイスとインターネットを完全に分離

アイソレーション技術とは、パソコンやタブレット、スマートホンなどのデバイスをインターネットにつなぐ場合に、デバイスから直接インターネットにつなぐのではなく、MenloSecurityが提供するアイソレーション・プラットフォームを中継することで、インターネット環境とクライアントデバイスを分離する技術。Web閲覧によるサイバー攻撃はプラットフォームに対して行われ、完全に安全なWebサイトのレンダリング(表示)情報のみをクライアントのパソコンに表示させる(図1)。パブリッククラウド、プライベートクラウド、オンプレミスにも対応し、クライアントのパソコンにソフトなどのインストールは不要。全てのブラウザで使用が可能だ。
インターネットは汚れた環境。触るにはゴム手袋が必要
現在のWebサイトは、そのほとんどが大量のスクリプト(プログラムの一種)によってダイナミック(動的)に生成される。マクニカネットワークスセキュリティ第1事業部ソリューション営業室長の村上雅則氏は、「日本のアクセス数ランキングTOP50サイトを調査したところ、ユーザが閲覧したときにブラウザ上で実行されるスクリプトは平均で21.24個が確認された。一回のリクエストで実行されたスクリプトの最大数は90個。しかも50サイトのうち、17サイト(34%)のサーバで脆弱性を持つコードによって運用されていることが確認された」と警鐘を鳴らす。
国内で「Menlo Security」の販売をマクニカネットワークのパートナーとして手掛けるラックCTOの西本逸郎氏は、「インターネットはいわば汚れた環境。アイソレーション技術によるコンテンツ無害化機能は、いわば汚れた環境に触るために必要な「ゴム手袋」の機能を果たすと言える」と、同技術の必要性を強調している。
誌面情報 vol54の他の記事
おすすめ記事
-
津波による壊滅的被害から10年
宮城県名取市で、津波により工場が壊滅的な被害に遭いながらも、被災1週間後から事業を再開させた廃油リサイクル業者のオイルプラントナトリを訪ねた。同社は、東日本大震災の直前2011年1月にBCPを策定した。津波被害は想定していなかったものの、工場にいた武田洋一社長と星野豊常務の適切な指示により全員が即座に避難し、一人も犠牲者を出さなかった。震災から約1週間後には自社の復旧作業に取り掛かり、あらかじめ決めていたBCPに基づき優先業務を復旧させた。現在のBCPへの取り組みを星野常務に聞いた。
2021/01/21
-
台湾をめぐる米中の紛争リスクが高まる
米国のシンクタンクCouncil on Foreign Relations(CFR)は、2021年に世界中で潜在的な紛争が起こる可能性を予測する最新の報告書を公表した。報告書は、台湾問題における米国と中国の深刻な危機を、世界の潜在的な紛争の最高レベルとして初めて特定した。
2021/01/20
-
これからの国土づくり 「構想力」と「創意工夫」で
政府の復興構想会議のメンバーとして東北の被災地を訪ね、地域の再生や強靭な国土づくりに多くの提言を行った東京大学名誉教授の御厨貴氏は当時、これからの日本の行方を「戦後が終わり、災後が始まる」と表現しました。あれから10年、社会はどう変わったのか。いつか再び起こる巨大地震をめぐり、政治・行政システムや技術環境、市民の生活や仕事はどう進歩したのか。これまでを振り返ってもらいながら、現在の課題、今後の展望を語ってもらいました。
2021/01/14