刻一刻と変化する海外情勢のなかでハイリスクエリア海外出張に備えるためには、情報収集と分析が欠かせない。しかしインターネット上に情報があふれかえる昨今、本当に信頼できる情報だけをスピーディーに、しかも必要なだけ効率よく収集するには、高度なノウハウとスキルが必要だ。そんな危機管理担当者の悩み解決に役立つ、日本国内でサービスを展開する2社を紹介する。

海外リスクに対する情報として国内で最も有名なのは、共同通信が配信する有料サービス「海外リスク情報」だろう。通信社の機能は、もともとロイター通信社などに代表される「新聞社のためのニュースソース」だ。日本国内は全国紙網が発達しているため想像しにくいが、例えば他国に支局を持たない地方紙が全世界のニュースを取り扱うことができるのは、通信社がニュースを配信しているためだ。共同通信社は全世界42カ所に支局を持ち、約50社の海外通信社と業務提携することでほぼ全世界を網羅するニュースネットワークを作り上げている。約20年前から、新聞社へ配信するニュースのうち、危機管理に特化した情報を企業向けに配信するサービスを開始。その情報量と信頼性、スピードにおいて国内最大級であり、多くの大手企業がモニターしている。

危機管理担当者に使いやすい画面設計と記事配信 
「海外リスク情報」専用のポータルサイトではエリア別、国別に表示できるほか、「災害・事故」「誘拐・人質」「戦争・テロ」などカテゴリー別の表示もでき、過去約3年分の記事検索が可能。オプション料金を払えば過去20年分のデータベースを活用することもできる。「マイ設定」ではキーワードやエリア、カテゴリーを設定することで、関連ニュースを個人メールに送ることが可能だ。重大事件に関しては「速報メール」でリアルタイムに第1報が送られてくるほか、「リスクファイル」として、土日も含み1日に4回(朝・昼・夕・夜)、定時に主要な海外リスクを配信する。関心のある地域のニュースが見出し一覧でわかるので、忙しい業務の合間にも直近の主要リスク情報が確認できる。ほかにも「特別報告」として特派員ルポ、分析、解説記事など注目テーマを掘り下げた特集記事を配信している。

イントラネットで情報共有が可能 
「海外リスク情報」を活用している日立グループは、1991年に勃発した湾岸戦争で同社の関係者25人がイラクで拘束された経験から、リスク対策部を発足。全社を挙げてリスクマネジメントに取り組むとともに、情報発信ツールとしてイントラネットの拡充に努めてきた。このイントラネットのホームページでは、共同通信社の海外リスク情報を中心に、外務省からの注意喚起や、従業員の海外での細かな被害情報(スリや置き引きなど)についても掲載。その数は毎日80〜100件にもなり、日立グループ内だけの情報公開でありながら月間のアクセス数は数百万件に達することもあるという。同社の危機管理担当者のみならず、海外渡航者には必須の情報源となっている。


□共同通信デジタル「海外リスク情報」

http://corp.kyodo-d.jp/service/risk/