電力確保が平時有事を問わず企業の課題に(写真:写真AC)

■企業の電力不足につながる2つの要因

これからの時代、国内のどの企業にとっても電力の確保は避けては通れない課題になるかもしれません。理由は次の2つです。

リスクの多様化によって電力インフラへが影響を受けることも多くなる(写真:写真AC)

一つは、これまでも述べてきたようにリスクの多様化(マルチハザード化)にともなう電力インフラへの影響があります。気象災害を例にとると、台風による送電塔の倒壊や電線の切断、受電設備の浸水被害、熱波の襲来による冷凍・冷房用の電力ニーズ急増にともなう需給のひっ迫などが考えられます。いずれも企業にとって、これらは「停電」や「計画停電」という形で顕在化します。

もう一つはエネルギー革命に乗り遅れた日本の構造的な問題です。CO2を排出する従来型の製品や商品の生産・利用を容易には放棄できないという理由から、再エネの利用が進まない、利用が進まないから宣伝もしない、よって需要も喚起できないという悪循環に陥ってしまう。

経済産業省は有識者会議で「老朽化した火力発電所の休止や廃止による供給力の減少で電力需給が厳しくなる」との見通しを示し「企業にはオフィスや工場での省エネとピーク時の電気の使用を抑える取り組みを呼びかける」としています。この発表は2021年度の文脈で述べたものですが、構造的な問題なだけに、2022年以降なら大丈夫というわけでもありません。

電気を取り巻く環境が脆弱化していくリスクも(写真:写真AC)

今現在、多くの国々が全力をあげて再生可能エネルギーによる分散型電力網を整備しています。中国などは今や世界最大の太陽光発電設備設置国です。化石燃料需要は2030年を待たずにピークアウトすると言われています。こんな情勢の中、日本だけ旧式の電力システム・製品・商品に頼り続ければ、電気を取り巻く環境がだんだん脆くなっていくのは目に見えています。

タイトな電力需給が続く中、気候変動をはじめとする大規模災害がたびたび起これば、企業にとってのダメージもけっして小さくはありません。このあまりに明白な現実を少しでも避けるために、企業として前もって準備できることはいろいろと考えておきたいものです。そこで今回は、将来を見据えた有事と平時の電力確保のあり方について考えます。