BCMにおけるレビューを有意義にするためには(写真:写真AC)

■BCMにおけるレビューの意義・目的

BCMにおいて「見直し」という言葉を使用する際は少し注意が必要です。次のいずれを指しているのか、文脈から判断する必要があるからです。

一つはBCP文書の見直し。記載情報が古くなっていないか等をチェックする作業。次は関係者が集まってBCPの方針や手順に誤りや矛盾がないかを精査する作業。最後は経営層や内外の監査員によるBCM活動の評価のこと。

おそらく大企業・中小企業問わず、最もルーチンワークとして定着している見直しは、1番目の記載情報のチェック、いわゆるアップデートでしょう。2番目と3番目については、筆者が知る限り、中小企業においてはあまり見聞きした経験がありません。どれもBCMにとって原則的に必要不可欠な作業ではありますが、ここではとくに3番目の意味として取り上げます。

なお「見直し」という用語は前2者と混同しやすいので、以下では「レビュー」という名称で話を進めます。

レビューはBCM事務局による経営者への1年間の成果や活動報告の場です。社内だけで自己完結的に行うことも可能ですが、社長自身のリーダーシップの評価もあるので、できることなら第三者を介して客観的に評価するのが望ましいでしょう。

BCM活動の成果や課題を事務局と経営層が正しく共有するために(写真:写真AC)

このように書くと、いわゆるISOなどの「マネジメントレビュー」のことを指しているのだなと考える人もいるでしょう。しかし無理にISOに当てはめる必要はありません。危機管理体制とその活動のレベルやクオリティ、効果や課題については、国際規格の要求項目をお手本にして必要かどうかではなく、実質的な意味で経営層と事務局の双方が正しく認識・共有しておくことが肝要なのだ、ということです。