脆弱な社会のなかで福祉防災の未来は(写真:写真AC)

第3回地域共生社会推進全国サミットinかまくら
パネルディスカッション「災害時に誰一人取り残さないために~福祉、防災、コミュニティの連結~」より

地域共生社会推進サミット全国大会は、1994年に「全国在宅ケアサミット」として始まり、2000年に「介護保険推進全国サミット」となり、2018年に今の名称となった歴史あるイベントです。今年度は2021年11月18日・19日に鎌倉市でオンラインにより開催されました。私がコーディネーターを務めたパネルディスカッション「災害時に誰一人取り残さないために~福祉、防災、コミュニティの連結~」を紹介します。非常に有意義な内容でした。

脆弱な社会

災害被害は自然の外力、人口、社会の脆弱性の掛け算です。ところが近年、社会が非常に脆弱になっています。25 年で75 歳以上の人は2.6 倍、高齢単身者は3.2 倍に増えました。一方で近所付き合いは、以前は5割くらいの人が親しく付き合っていたのが今は1割。地方公務員も328 万人から273 万人に減少しました。

災害ケースマネジメント
大阪市立大学准教授 菅野拓氏
現代は、災害時に救命救助や公共土木施設がほとんど混乱しないのに比べ、医療・福祉や避難所、物資はすごく混乱します。混乱しない部分は普段から行政の仕事で、民間がふだんやっているところを災害時に行政が行って混乱しています。

最近、災害ケースマネジメントが注目されています。仙台市はアウトリーチをして、データを集めて、ケース会議を行いながら、災害の支援と平時の支援を組み合せながらオーダーメード型でサポートを続けているそうです。

これを社会保障のフェーズフリー化といいます。社会保障、例えば生活困窮者自立支援法や障害者総合支援法、介護保険法、また地域共生社会づくりにおいて、災害のことも一緒に考えておけば、災害時もその体制が使える、という話をいただきました。

24時間365日の福祉拠点
株式会社ぐるんとびー代表取締役 菅原健介氏
神奈川県藤沢市で「地域を一つの大きな家族に」と、URの団地にみんなで一緒に過ごしながら多世代で生活をしています。東日本大震災がきっかけで、地域に24 時間365 日、すぐに相談できる福祉拠点があることが安心した暮らしにつながると感じて、日本で初めてUR団地の1部屋に介護事業所をオープンして、菅原さんもスタッフもみんなで住んでいます。

東日本大震災での支援活動を通じて「困っても何とかなる!」という、そんな「人」がいる「まち」をみんなでつくると、ぐるんとびーの活動を開始しています。

介護事業所ですが、認知症のおばあちゃんたちが子供たちの御飯をつくってくれたり、多世代で助け合いながら生活しています。楽しく生きることがその人の強みを引き出していて、認知症があろうが、障害があろうが、精神疾患があっても、不登校の子たちも毎日来ているので、全部ごちゃ混ぜにしながら一緒に生活しています。

こっちが正しくてこっちが間違いというわけではなく、それぞれの選択、集まりながら、お互いを認め合いながら一つの地域で共生していくのが地域福祉の未来と話されました。

インクルーシブ防災~誰一人取り残さない防災~
別府市防災危機管理課 村野淳子氏
村野さんは多くの被災地で支援活動を行ってきました。新たな被災地では、これまでの被災地と同じ問題が繰り返され、被災された方々を苦しめていると思ったそうです。被災する前の準備をしっかりするために、福祉フォーラムin別杵速見実行委員会という障害当事者を中心とした市民活動団体と一緒に活動しています。

最初は、障害当事者のアセスメントを行います。日常からサービス提供を行っている福祉職の方々に関わってもらいます。次に地域の方々と話合いをします。本人や家族が参加できるときには本人さんたちに来ていただきます。訓練に向かって、具体的に議論しながら話し合って決めていきます。

地域には障害者や子供、それから外国人、多様な方々がいらっしゃるので、多様な力を借りて解決する仕組みをつくっていこうと。地域づくり、人づくり、それなくしては「誰一人取り残さない防災」というものを実現することは本当にできないのではないか、と話されました。

個別避難計画
内閣府政策統括官(防災担当)付参事官(避難生活担当)重永将志氏
2021 年5月に災害対策基本法を改正し、個別避難計画の作成を市町村に努力義務化としました。今年度、優良事例を全国に展開するためのモデル事業を実施しています。災害時に誰一人取り残さないために、福祉、防災、コミュニティが連結するということは、非常に大事な視点と話されました。