2022/02/11
雪氷災害対策の最先端
今シーズンも雪による車の立ち往生が各地で発生している。基幹道路が止まる経済的・社会的インパクトは予想以上に大きいうえ、取り残されたドライバーは命を落としかねない。一昨年暮れから昨年1月に起きた関越道、北陸道の大規模立ち往生は道路が雪に弱いことを浮き彫りにしたが、これを重大リスクととらえて予防・回避・対応を図る取り組みが始まっている。中日本高速道路(NEXCO 中日本)に、大規模立ち往生対策の強化について聞いた。
3日前にタイムラインを発動し
3時間前に判断、人命を最重要視
国土交通省は2021年3月、大雪の道路対策を改定した。これまでは道路ネットワーク全体での交通確保を目標にしてきた。しかし「人命を最優先」に、大規模な立ち往生(スタック)を徹底的に回避する方針へと転換した。原因は大雪による大規模な立ち往生が相次いだため。2020年12月には関越道で約2100台、2021年1月には北陸道で約1600台が一時動けなくなった。
これらの立ち往生では、並行する国道でも通行止めや渋滞が発生した。各高速道路会社は交通を確保するために高速道路の通行止めを避けていたが、国交省の冬期道路交通確保対策検討委員会は、大規模立ち往生が人命を危険にさらす可能性があることから、高速道路の通行止め躊躇を重くみた。
同委員会は「大雪時の道路交通確保対策中間とりまとめ」の改定で、大規模立ち往生を防ぐために高速道路と国道の同時実施も含めた「躊躇のない通行止め」を提言した。
2022年2月号 雪氷災害対策の最先端の他の記事
- 大規模立ち往生回避へ「予防的通行止め」
- 降雪・吹雪・雪崩・路面凍結はどこまで予測できるか?
- 雪氷災害対策の最先端
おすすめ記事
-
-
ゲリラ豪雨を30分前に捕捉 万博会場で実証実験
「ゲリラ豪雨」は不確実性の高い気象現象の代表格。これを正確に捕捉しようという試みが現在、大阪・関西万博の会場で行われています。情報通信研究機構(NICT)、理化学研究所、大阪大学、防災科学技術研究所、Preferred Networks、エムティーアイの6者連携による実証実験。予測システムの仕組みと開発の経緯、実証実験の概要を聞きました。
2025/08/20
-
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/08/19
-
-
-
-
「自分の安全は自分で」企業に寄り添いサポート
海外赴任者・出張者のインシデントに一企業が単独で対応するのは簡単ではありません。昨今、世界中のネットワークを使って一連の対応を援助するアシスタンスサービスのニーズが急上昇しています。ヨーロッパ・アシスタンス・ジャパンの森紀俊社長に、最近のニーズ変化と今後の展開を聞きました。
2025/08/16
-
-
白山のBCPが企業成長を導く
2024年1月1日に発生した能登半島地震で震度7を観測した石川県志賀町にある株式会社白山の石川工場は、深刻な被害を受けながらも、3カ月で完全復旧を実現した。迅速な対応を支えたのは、人を中心に据える「ヒト・セントリック経営」と、現場に委ねられた判断力、そして、地元建設会社との信頼関係の積み重ねだった。同社は現在、埼玉に新たな工場を建設するなどBCPと経営効率化のさらなる一体化に取り組みはじめている。
2025/08/11






※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方