高速道路を降りるように誘導するエアー遮断機(提供:NEXCO中日本)

今シーズンも雪による車の立ち往生が各地で発生している。基幹道路が止まる経済的・社会的インパクトは予想以上に大きいうえ、取り残されたドライバーは命を落としかねない。一昨年暮れから昨年1月に起きた関越道、北陸道の大規模立ち往生は道路が雪に弱いことを浮き彫りにしたが、これを重大リスクととらえて予防・回避・対応を図る取り組みが始まっている。中日本高速道路(NEXCO 中日本)に、大規模立ち往生対策の強化について聞いた。

3日前にタイムラインを発動し
3時間前に判断、人命を最重要視

国土交通省は2021年3月、大雪の道路対策を改定した。これまでは道路ネットワーク全体での交通確保を目標にしてきた。しかし「人命を最優先」に、大規模な立ち往生(スタック)を徹底的に回避する方針へと転換した。原因は大雪による大規模な立ち往生が相次いだため。2020年12月には関越道で約2100台、2021年1月には北陸道で約1600台が一時動けなくなった。

これらの立ち往生では、並行する国道でも通行止めや渋滞が発生した。各高速道路会社は交通を確保するために高速道路の通行止めを避けていたが、国交省の冬期道路交通確保対策検討委員会は、大規模立ち往生が人命を危険にさらす可能性があることから、高速道路の通行止め躊躇を重くみた。

同委員会は「大雪時の道路交通確保対策中間とりまとめ」の改定で、大規模立ち往生を防ぐために高速道路と国道の同時実施も含めた「躊躇のない通行止め」を提言した。