環境省は、2018年度に作成した『民間企業の気候変動適応ガイド-気候リスクに備え、勝ち残るために-』を改訂し、公表した。

令和元年東日本台風は、民間企業においても、建物の損壊や、停電、断水、操業停止など様々な影響をもたらした。企業活動への影響は被災地にとどまらず、サプライチェーンや物流の断絶等によって全国各地に広がった。今後も地球温暖化の進行によって、勢力の強い台風や大雨、猛暑、渇水の頻度が増加するなど、気候変動による影響が、さらに拡大することが懸念されている。一方、2018年12月に施行された「気候変動適応法」では、民間企業には『自らの事業活動を円滑に実施するため、その事業活動の内容に即した気候変動適応に努める』ことと、『国及び地方公共団体の気候変動適応に関する施策に協力するよう努める』ことが盛り込まれ、これを受け同省では、民間企業の自主的な取組を後押しするため「民間企業の気候変動適応ガイド-気候リスクに備え、勝ち残るために-」を2019年3月に公開した。

その後3年の間に、金融安定理事会(FSB)の気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言に基づく気候関連リスクに関する情報開示の取組が広がり、企業の気候関連リスクやその対策に関する認識や取り組みが大きく進展した。TCFD提言は、企業において気候関連リスクを分析し、戦略的に対応・開示することを促すものであり、中でも物理的リスクに関する対応は、気候変動適応の取組そのものであると考えられる。また近年、過去に例のない気象災害の頻発によって、事業継続マネジメント(BCM)においては、気象災害に関する対応の必要性が高まってきている。