環境省は、大規模な地震や豪雨など災害の発生に起因する化学物質の漏洩・流出などの事故が発生する可能性が高まっていることから、地方公共団体環境部局の災害・事故対応を更に充実、強化していくことを目的として「地方公共団体環境部局における化学物質に係る災害・事故対応マニュアル策定の手引き」を策定した。化学物質の漏洩や流出等が生じ、人の健康及び環境への影響が懸念される場合、地方公共団体の環境部局では、他の関係部局と連携して被害を最小限に食い止めるとともに、事故時における環境リスクの一時的な増加への懸念に対し、事故情報の収集、地域住民への適切な情報提供等速やかな対応が求めらる。また、事故の発生後にも、モニタリングの実施、回復状況のフォロー、再発防止等の指導等、様々な対応が必要となる。これらを踏まえ、災害への備えも念頭に、地方公共団体の環境部局における化学物質に係る事故等への対応を更に充実、強化していくことを目的として、平成21年度に同省が策定した「自治体環境部局における化学物質に係る事故対応マニュアル策定の手引き」の見直しを行い、新たに「地方公共団体環境部局における化学物質に係る災害・事故対応マニュアル策定の手引き」を策定した。

手引きは4章で構成する。第1章は「マニュアル策定の手引きの概要」で、化学物質に係る災害・事故対応に関する法律や対象になる事故について説明。事故の種類により講じるべき対策が異なるため、「発生源が直ちに特定できる場合」と「原因が特定しにくい場合」の2つに大別して、事故を知覚する現象の例、誘因事象、環境部局における事故覚知の契機、事故を最初に知覚する主体をそれぞれ例示。事故対応における地方公共団体の環境部局の役割や環境省の役割を明示した上で、マニュアル策定で留意すべき点を解説した。具体的には「環境部局において所管する環境法令を勘案し、平常時に所管する事務に関する事故対応マニュアルを策定することが第一に求められる」とし、関連法令ごとの対応を整理することを求めたほか、、環境部局の所管ではない法令(消防法、毒物 及び 劇物取締法、水道法、下水道法等)に関連する事故であっても、事故が一般環境の汚染につながり得ることや環境部局が所管する法令に関する事務と密接な関係にあること、また、環境部局が有する 事業所や 施設等の情報が事故対応に有用となることから、他部局 が策定する事故対応マニュアル に環境部局を関連付けておくことが望ましいとした。