健康も害するパワハラ 全職場で防止措置
第5回:パワーハラスメント防止対策の義務化その1
本田 茂樹
現在の三井住友海上火災保険株式会社に入社、その後、出向先であるMS&ADインターリスク総研株式会社での勤務を経て、現職。企業や組織を対象として、リスクマネジメントおよび危機管理に関するコンサルティング、執筆活動を続ける一方で、全国での講演活動も行っている。これまで、早稲田大学、東京医科歯科大学大学院などで教鞭をとるとともに、日本経済団体連合会・社会基盤強化委員会企画部会委員を務めてきた。
2022/04/13
ウイズコロナ時代の健康経営
本田 茂樹
現在の三井住友海上火災保険株式会社に入社、その後、出向先であるMS&ADインターリスク総研株式会社での勤務を経て、現職。企業や組織を対象として、リスクマネジメントおよび危機管理に関するコンサルティング、執筆活動を続ける一方で、全国での講演活動も行っている。これまで、早稲田大学、東京医科歯科大学大学院などで教鞭をとるとともに、日本経済団体連合会・社会基盤強化委員会企画部会委員を務めてきた。
企業におけるパワーハラスメント等のさまざまなハラスメントは、個人の尊厳や人格を傷つける人権侵害行為であるとともに、職場の雰囲気が悪くなる、仕事の生産性が落ちるなど、健康経営の観点からも重大な問題です。
2020年6月1日に「改正労働施策総合推進法」が施行され、パワーハラスメント防止措置が企業の義務となっていましたが、中小企業においても、2022年4月1日から義務化されています(2022年3月31日までは努力義務)。
今回は、中小企業においても義務化された、パワーハラスメントの防止対策の内容を確認しておきましょう。
職場におけるパワーハラスメントは、職場で行われる言動で、次の3つの要素をすべて満たすものをいいます。
ただし、客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導は、ここでいう職場におけるパワーハラスメントに該当しません。
業務を遂行するにあたって、その言動を受ける従業員が、言動を発する人物に対して抵抗や拒絶することができない蓋然性が高い関係が、優越的な関係とされています。具体的には、次のような関係が考えられます。
社会通念に照らして、その言動が明らかに当該企業の業務上必要性がない、またはその態様が相当でないものを指します。次のような例が、該当すると考えられます。
その言動が、「業務上必要かつ相当な範囲を超えたものかどうか」の判断は、当該言動の目的、当該言動が行われた経緯や状況などさまざまな要素を総合的に考慮することが求められます。その際、個別の事案における従業員の行動が問題となる場合は、その内容・程度とそれに対する指導の態様等の相対的な関係性が重要な要素となることについても留意が必要です。
ただし、当該言動を受けた従業員に問題行動があった場合であっても、人格を否定するような言動など業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動がなされれば、職場におけるパワーハラスメントになり得ます。
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