IT-BCPを妨げる総務と情シスの仲の悪さ
第14回:IT を BCP に取り込む方法

林田 朋之
北海道大学大学院修了後、富士通を経て、米シスコシステムズ入社。独立コンサルタントとして企業の IT、情報セキュリティー、危機管理、自然災害、新型インフルエンザ等の BCPコンサルティング業務に携わる。現在はプリンシプル BCP 研究所所長として企業のコンサルティング業務や講演活動を展開。著書に「マルチメディアATMの展望」(日経BP社)など。
2022/05/13
企業を変えるBCP
林田 朋之
北海道大学大学院修了後、富士通を経て、米シスコシステムズ入社。独立コンサルタントとして企業の IT、情報セキュリティー、危機管理、自然災害、新型インフルエンザ等の BCPコンサルティング業務に携わる。現在はプリンシプル BCP 研究所所長として企業のコンサルティング業務や講演活動を展開。著書に「マルチメディアATMの展望」(日経BP社)など。
総務部門と情報システム部門は”仲が悪い”。これは、インターネットの出現以前、企業内の情報ネットワークシステムの一つとして、トールダイヤルネットワーク(内線PBXシステム)を総務部門が管轄し、データネットワークを情報システム部門が担っていた時代の話です。この2つのネットワークを統合するデジタル回線多重化装置(モデムのお化けのようなもの)を、どちらの主導でやるかの戦いもありました。
インターネット黎明期、音声ネットワークがVoice over IP(VoIP)としてインターネットに統合されるようになってから、その境界は曖昧になっていくことになります。しかし、この歴史的な”仲の悪さ”は、今の時代のBCPにも影響を与えています。総務部門が管轄するBCPと情シス部門が管轄するIT-BCP、DR(Disaster Recovery:災害時システム復旧)は、同じところを目指しているはずなのに、その実体はなぜか交わらない仕組みとして成立してきました。
総務部門はIT-BCP/DRに対し、ITのところは任せたから「よきにはからえ」と言わんばかりにノータッチ。一方の情シスはRPO/RTO/RLO*に関して、情シス目線の独自の考え方で「完全復旧させればいいんでしょ」と言う。
一見すると、ITが完全復旧できるなら何の問題もないように思えますが、この状態は有事になるといろいろな問題を引き起こすことになります。
* RPO(目標復旧ポイント): Recovery Point Objective、RTO(目標復旧時間): Recovery Time Objective、RLO(目標復旧レベル): Recovery Level Objective
企業を変えるBCPの他の記事
おすすめ記事
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/07/01
「ビジネスイネーブラー」へ進化するセキュリティ組織
昨年、累計出品数が40億を突破し、流通取引総額が1兆円を超えたフリマアプリ「メルカリ」。オンラインサービス上では日々膨大な数の取引が行われています。顧客の利便性や従業員の生産性を落とさず、安全と信頼を高めるセキュリティ戦略について、執行役員CISOの市原尚久氏に聞きました。
2025/06/29
柔軟性と合理性で守る職場ハイブリッド勤務時代の“リアル”な改善
比較サイトの先駆けである「価格.com」やユーザー評価を重視した飲食店検索サイトの「食べログ」を運営し、現在は20を超えるサービスを提供するカカクコム(東京都渋谷区、村上敦浩代表取締役社長)。同社は新型コロナウイルス流行による出社率の低下をきっかけに、発災時に機能する防災体制に向けて改善に取り組んだ。誰が出社しているかわからない状況に対応するため、柔軟な組織づくりやマルチタスク化によるリスク分散など効果を重視した防災対策を進めている。
2025/06/20
サイバーセキュリティを経営層に響かせよ
デジタル依存が拡大しサイバーリスクが増大する昨今、セキュリティ対策は情報資産や顧客・従業員を守るだけでなく、DXを加速させていくうえでも必須の取り組みです。これからの時代に求められるセキュリティマネジメントのあり方とは、それを組織にどう実装させるのか。東海大学情報通信学部教授で学部長の三角育生氏に聞きました。
2025/06/17
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方