事案が発生してからの対応では遅い
第8回:パワーハラスメント防止対策の義務化 その4
本田 茂樹
現在の三井住友海上火災保険株式会社に入社、その後、出向先であるMS&ADインターリスク総研株式会社での勤務を経て、現職。企業や組織を対象として、リスクマネジメントおよび危機管理に関するコンサルティング、執筆活動を続ける一方で、全国での講演活動も行っている。これまで、信州大学特任教授として教鞭をとるとともに、日本経済団体連合会・社会基盤強化委員会企画部会委員を務めてきた。
2022/07/13
ウイズコロナ時代の健康経営
本田 茂樹
現在の三井住友海上火災保険株式会社に入社、その後、出向先であるMS&ADインターリスク総研株式会社での勤務を経て、現職。企業や組織を対象として、リスクマネジメントおよび危機管理に関するコンサルティング、執筆活動を続ける一方で、全国での講演活動も行っている。これまで、信州大学特任教授として教鞭をとるとともに、日本経済団体連合会・社会基盤強化委員会企画部会委員を務めてきた。
引き続き、2022年4月1日から中小企業においても義務化されたパワーハラスメント防止措置について考えます。
今回は、企業がパワーハラスメントを防止するために講じるべき措置の中から、「職場におけるパワーハラスメントに関する事後の迅速かつ適切な対応」について考えます。ここでは、次の4つの項目が求められています。
・事実関係を迅速かつ正確に確認すること
・速やかに被害者に対する配慮のための措置を適正に行うこと
・事実関係の確認後、行為者に対する措置を適正に行うこと
・再発防止に向けた措置を講じること(事実確認ができなかった場合も含む)
職場において発生したパワーハラスメントに対して迅速かつ適切な対応をするためには、実際に何が起こったのかを正確に把握することが必須です。それは、事実関係が分からないまま、その後の対応を進めることはできないからです。
まず、相談窓口の担当者や人事部門などが、パワーハラスメントの相談者と行為者のそれぞれから、事実関係を確認することから始めます。その際、相談者の心身の状況にも適切に配慮しつつ、聞き取りを進めます。
また、相談者と行為者の間で事実関係に関する主張に不一致があり、事実確認が十分にできない場合は、第三者から聴取をすることも検討しましょう。
相談者が、パワーハラスメントの被害を受けていたという事実確認ができた場合は、速やかに被害者に対する配慮措置を適正に行うことが必要です。事案の内容や状況次第にはなりますが、次のような対応が考えられます。
・被害者と行為者を引き離すための配置転換
・被害者と行為者の間の関係改善に向けての援助
・行為者の謝罪
・被害者のメンタルヘルス不調への対応 など
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