登山で出会った絶景をSNSに投稿し注目してもらいたい気持ちは分かるが(写真:写真AC)

■パワースポット巡りもよいけれど…

ハルトの学生時代の友人の一人に、SNSに凝っているMくんがいます。Mくんは登山はしませんが、旅行が好きで、最近は全国のパワースポット巡りなどをしてはその画像をSNSにアップしているのです。最近はことあるごとにMくんから「先週は○○へ行ってきたぞ。ぜひ見てくれ!」といったメールや電話がかかってきます。

Mくんのさまざまな投稿は面白いものではある(写真:写真AC)

Mくんからの自己宣伝に少々ヘキエキ気味のハルトは、ある時、これまであまり関心のなかったMくんのSNSをのぞいてみました。なるほど、実にいろいろな場所を訪ねてはさまざまなアングルから写真や動画を撮ってアップしています。なかなか面白くエキサイティングではあります。

ところが、その中にちょっと気になる写真があることに気づきました。それは「神の島」と呼ばれている島を訪れた時の写真です。しめ縄を張った大きな石の前に立ってポーズをとっている自慢気なMくんの顔。これだけなら問題はありませんが、その下にはこれを閲覧した多数の批判のコメントがついていたのです。けっこう手厳しいコメントも目立ちます。

例えば、「この場所は地元の巫女以外は立入禁止の聖域ですよ。これって神への冒涜でしょ?」「何を考えているのだろうこの人は!」といった具合です。どうやらMくんのSNSは炎上してしまっているようです。

■いたいた、羽目を外しすぎた人々

これを見たハルトは、ため息をつきながらつぶやきました。「SNSで注目を浴びるのも善し悪しだな。さすがに登山やアウトドアなどのスポーツ系の人はMくんのようなルール違反はしないだろう」。そう信じつつも、少し気になった彼は、ネットで登山者のブログや投稿サイトを探して閲覧してみました。

ところが、さまざまなページを眺めているうちに、何度か唖然とさせられる場面に出くわしたのです。

あるブログを見て気づいたのは、穂高岳から南に延びる険しい尾根の一角に、観光目的で来たのではと思われる軽装のハイカーたちが笑顔で、岩にしがみつくような格好で写真に写っていたことです。この尾根は高度な岩登りの技術と装備がなければ立入できない上級者向けのルートで、とても危険な場所であることはハルトも知っていました。

別の投稿者は、Y岳にある人の手が加わらない神秘的な池の周りをマウンテンバイクで一周した時の記録を記事にしています。池のほとりの砂地に無残につけられた轍の跡が目に浮かぶようです。

アクセス数を増やすことにこだわるあまり羽目を外し過ぎた投稿も(写真:写真AC)

さらには、2014年に噴火した御嶽山の入山規制区域内に無断で立ち入った登山者も何人かいるようです。登山交流サイトの会員である彼らは、その時の様子をスクープ記者さながらの筆使いで書いています。どうやらこのまま検索していけば、次から次へといろいろな記事が出てきそうな気がします。