(出典:Shutterstock)

今回報告させていただく報告書「Backup Monitoring Trends Report」は、データのバックアップに関する業務にフォーカスしてまとめられたものである。報告書を発表したBocada社は、データのバックアップの自動化や監視に関するソリューションを提供している企業なので、当然ながら本報告書の内容は、同社の製品やサービスに対するニーズ喚起を意図してまとめられているという前提で読む必要がある。

調査は市場調査会社のPlanBeyond社に委託され、2022年6月にIT運用の実務者260人を対象としたアンケート調査が実施されている。調査対象については「260 global IT professionals」としか書かれていないので、地域や業種などは不明だが、「global」と書かれている以上は少なくとも米国や欧州などの複数国が対象となっていると思われる。

なお本報告書によると、全ての回答者が組織におけるデータのバックアップに関する業務の責任者か、もしくは何らかの影響を与える立場にあることを、LinkedIn(注1)のプロフィールで確認しているという。したがって本報告書の内容には、データのバックアップに関する実務の状況を十分把握している方々の課題認識が反映されていると期待できる。回答者についてこのような方法で確認されたという調査は珍しいと思う。

本報告書は下記URLにて全文を読むことができる。
https://www.bocada.com/backup-monitoring-trends-report/


図1は、データのバックアップに関連する業務の自動化がどの程度進んでいるかを尋ねた結果である。最も自動化されている割合の高い「中央のダッシュボードにおける、複数のアプリケーションにわたるバックアップの監視」(Monitoring backups across application in a central dashboard)でも、自動化された(Automated)割合は38%にとどまっており、全体的にバックアップ関連の業務に関して、自動化があまり進んでいない状況がわかる。

画像を拡大 図1.  データのバックアップに関連する業務が自動化されている割合 (出典:Bocada / Backup Monitoring Trends Report)

筆者としては、自動化の割合よりもむしろ、多様な業務が自動化可能になっていることに驚いた(注2)。例えば「監査報告書や顧客に対するSLA報告書の作成」(Creating audit compliance and/or customer SLA report)を自動化するというのは、かなり高度な自動化技術なのではないかと思う。

一方で「バックアップ媒体が使い果たされたら警告を受け取る」(Receiving alerts when running out of backup storage)や「通常と異なるバックアップ活動に対して警告を受け取る」(Receiving alerts for unusual backup activity)などは、このくらいは自動化されていなければ困ると感じた(あくまでも筆者の主観である)。

なお、図の掲載は省略させていただくが、これらの業務を今後1〜2年の間に自動化する予定があるかを尋ねた結果も掲載されている。ご興味がある方は報告書本文をご参照いただきたいと思う。