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神戸旧居留地・地域防災計画
神戸市中央区にある旧居留地では、阪神・淡路大震災を機に、エリア内のビルオーナーらで組織された「旧居留地連絡協議会」が継続的に防災活動に取り組んでいる。自分たちで防災計画やマニュアルを策定し運用する地区防災計画制度の先駆けとも言える地域だ。中心を担うのは、連絡協議会にある5つの専門委員会のうちの1つ「防災・防犯委員会」。阪神・淡路大震災を機に地域の企業の自主的な防災協力体制を確立するために発足。96年に「事業所のための『防災マニュアル』作成の手引」を作ることから活動を開始し、2001年には「神戸旧居留地・地域防災計画」を策定。現在まで、毎月1回(阪神・淡路大震災の日=17日)の定例会を開き、毎年、防災活動のマニュアルの見直しなどを行っている。なぜ、こうした地道な作業が継続できるのか。これまでの取り組みの背景と現状、これからの課題を追った。  

神戸市旧居留地のビルオーナー達が組織

神戸市の旧居留地は、1868年の兵庫開港とともに設けられた外国人のための居住・通商エリアで、面積は約22ha。1899年に居留地制度が解消され、日本への返還後は交通網や港の整備を背景に日本の企業が進出し、神戸の中心地として発展してきた。旧居留地連絡協議会(以下、連絡協議会)は戦後、旧居留地におけるビルオーナーの親睦団体としてスタート。会員は30社程度だったが、1983年に神戸市都市景観条例に基づく「都市景観形成地域」に指定されることをきっかけに、ビルオーナー同士の親睦の場として名称を変更。新しいまちづくりに取り組むようになり、エリア内の法人だけを対象に、現在では、旧居留地内の約1000事業所のうちの約100事業所が連絡協議会に参加している(会員の半分はテナント企業)。現在、連絡協議会には親睦・イベント委員会、環境委員会、広報委員会、都心づくり委員会、防災・防犯委員会の5つの専門委員会があり、防災防犯委員会は阪神・淡路大震災以後に立ち上げられた(当初防災委員会でスタートしたが、後に防犯を加えた)。

旧居留地協議会の防災・防犯委員会のメンバー。
左から西金秀記氏、富田良典氏、田中貴夫氏、山本俊貞氏、南嘉邦氏。