東日本大震災の教訓からジュニアレスキュー隊設立 

東日本大震災では、ソフィアステイシアでも発災直後に広域停電が発生。エレベーター停止により、高層階難民が続出したほか、断水によるトイレの使用不能などで高齢者を中心に生活困窮者が多数発生した。自主防災会役員の多くが帰宅困難者となるなか、マンション内にいた防災役員が指揮を執り、高層階に暮らす要援護者を対象にポリタンクによる給水支援を行ったが、大人が1回の往復で音を上げるなか、高校生の住民が何度も高層階を往復し、高層階に水を届けたという。この若者たちの活躍にヒントを得て、ソフィアステイシアでは2013年に中・高校生で編成するジュニアレスキュー隊を発足した。中・高校生の多くは発災後も徒歩1時間以内でマンションまで帰宅することができる。消火活動や救助活動など危険を伴う作業には従事できないが、非常階段を使用した食料・飲料水の配給や買い物支援などに活躍が期待できる。現在、35人が登録し、マンションの総合防災訓練では欠かせない戦力になっているという。

世代を超えたコミュニティづくりを目指して

ソフィアステイシアでは現在、安否確認システムの導入を目指している。勤務先や学校などで被災した住民とマンションに残った家族や自主防災会との間で通信手段を確保するのが目標だ。同マンションには東京方面に通勤・通学している住民も多数存在する。勤務先などにいる住民と、マンション内にいる家族が互いに無事を確認できれば、危険を冒して帰宅する必要はないという。マンション内の家族は自主防災会が支援するからだ。勤務先で被災した住民は、安心して勤務先のBCPの遂行者となることができる。今後は衛星携帯電話などの活用も検討している。帰宅困難世帯の園児や児童は自主防災会が引き取り代行を行い、保護者が避難するまで臨時保育所で引き取る予定だ。

安部氏は「このマンションなら安心ということで、親を呼び寄せた住民も多い。高齢者だけでなく、ここで育った子どもたちが大人になっても定住し、さまざまな世代が共生する世代循環型コミュニティを作ることが、私たちの最終的な目標」と話している。