日本のセキュリティ業界は依然として女性が少ない(写真:写真AC)

昨年12月、『Women in Security』というセミナーにパネリストのひとりとして参加しました。久しぶりの東京出張、唐津から福岡空港へは電車で、そこから飛行機で羽田空港、京急で品川まで、迷わず到着できました。しかし、無事に会場まで着いてホッとする自分がおり、私のベースは唐津になってきたなぁと感じました。

セミナーの主催はASIS日本支部です。ASISは1955年に設立された世界最大のセキュリティ団体で、本部はアメリカのバージニア州にあります。セキュリティの専門家が集い、セキュリティ関連の規格化、教育、展示会など幅広い活動を行っています。私もASISインターナショナルメンバーなので、そのつながりから今回の日本支部主催セミナーに呼んでいただきました。

セキュリティ業界は男の業界か

セキュリティ業界は男社会のイメージが強い(写真:写真AC)

セキュリティ業界というと、男社会のイメージが強いですよね。実際、フィジカルセキュリティの分野は、圧倒的に男性が多いです。空港の保安検査は女性旅客には女性が担当しなければならないこともあり、女性検査員も多いのですが、空港以外の警備の現場では女性警備員がたま~にいるかなという印象です。

警察庁生活安全局のレポートによると、令和3年末の警備員数は58万9938人でした。では、女性警備員はそのうち何人でしょうか?何%くらいだと思いますか?

女性警備員の数は3万9812人、全体の6.7%です。警備員10人いても、女性は1人もいません。15人いたらやっと1人いるという感じです。では、アメリカで女性警備員は何%だと思いますか?

2022年、アメリカの警備員数は94万4037人です。うち女性は28万3211人、全体の30%です(Zipper)。幼稚園や小学校での見守り、公園や通学路でのパトロール、シニア向け施設での立哨などは「やわらかく」「優しい」印象を与えるということから、女性警備員がより多く配置されています。

女性は守られる側にいるだけではない(写真:写真AC)

守らなければならない側には女性も含めた多様な人がいる、という観点から、欧米では守る側にも女性が入っていることは珍しくありません。男性と比べると一般的には腕力では劣りますし、体つきも女性の方が小柄ですが、優れたセキュリティ人材になるための要因は、力や体格だけではありません。