野村総合研究所(以下、NRI)が実施した国内企業におけるIT活用の実態調査によると、チャットGPTなど「生成AI」の導入率は24.2%にとどまることがわかった。調査は今年9月に、日本国内に本社を持つ売上高上位企業約3000社のCIOまたはIT担当役員らを対象に行ったもので有効回答は459社だった。業種は、機械製造、素材・他製造、建設、流通、金融、運輸・通信・インフラなどだった。

「生成AI」の導入率は24.2%で、生成AI以外のAI・機械学習の導入率は28.7%だった。生成AIについては「導入を検討中」との回答が30.8%と多く、「今後検討したい」との回答も26.0%に上ることから、今後の導入進展が期待されるとしている。

画像を拡大 n=289(全回答企業数から該当設問への無回答企業を除く有効回答企業数) 注)グラフは調査技術27項目のうち主要な18項目を掲載 出所)NRI 「ユーザ企業のIT活用実態調査(2023年)」

 

生成AIの活用に関わる課題については、「リテラシーやスキルが不足している」との回答が64.6%で最も多く、次が 「リスクを把握し管理することが難しい」 で 61.4%に上った。

画像を拡大 n=308(全回答企業数から該当設問への無回答企業を除く有効回答企業数) 出所)NRI 「ユーザ企業のIT活用実態調査(2023年)」

 

NRIでは「社員のリテラシーやスキルの不足は、これまでのAI活用でも課題とされてきた。一方、リスクの把握・管理については、生成AIが最近注目されるようになった技術であること、また、プロンプト・インジェクション3と呼ばれる新しい攻撃手法の登場や、偽情報が出力される可能性、著作権との関連など、これまでにない観点でのリスク対処が必要となっていることが、課題として認識されていると考えられる。生成AIの適用領域を社内のオフィスワークからさまざまな業務領域へと広げて行く上でも、リスクへの対処は重要な課題であると考えられる」とコメントしている。