一般社団法人日本フランチャイズチェーン協会(JFA)は12月21日、首都直下地震時の被災地域への物資供給などに関する共同研究の成果を発表した。コンビニエンスストア5社が参加する大規模災害対応共同研究会によって作成されたもので、災害発生時の物資供給などの課題と改善策を中間報告としてまとめている。

報告書では、発災直後から72時間、4日目から1週間、1週間以降の3段階で課題と解決策を整理した。まず、発災直後から72時間では、避難所と在宅避難者らへの物流確保について、道路啓開や輸送力(特に運転手)の確保が困難になるとしている。避難所に関わる事項としては、避難所の運営職員・資機材の確保が難しくなるほか、発電機や冷蔵・冷凍・空調設備が不足すると指摘。さらに、避難所に対する支援物資の調達・配分方法についても、コンビニ各社は普段、弁当などの日配品を店舗からの発注数に応じて製造するシステムで運営しており、被災時は発災後の状況などにより製造可能数が異なるため、支援可能物資数を提示することは難しいとした。また、災害時に優先的に道路を走ることができる緊急通行車両についても、配送業者と複雑な雇用関係のあるコンビニ各社ではほぼ活用されていないことを課題に挙げている。72時間以降から1週間では、国から都県に対するプッシュ型支援が始まる中、輸送力不足に対する調整が課題になるとした。また、被災地では、コンビニ従業員が通勤困難な状況となりシフトが組めなかったり、製造・配送能力の不足から店舗への十分な納品が行われず、結果として、在宅避難者に対する物資供給も不十分になるとした。1週間以降では、停電などライフラインの停止が長期化し、在宅避難者に対してコンビニ・スーパーなどの営業再開困難な地域における食料調達確保が困難などの課題が挙げられた。

こうした課題について、これまで研究会が検討・確認してきた解決に向けた方向性も提示。例えば道路啓開については、国道交通省がとりまとめた首都直下地震道路啓開計画第4版に掲載されている対策を紹介。物資輸送機能の確保については、警察署などの審査を経れば事前に緊急通行車両確認標章などの交付が可能になったことなどを紹介している。

共同研究会は、2021年12月から2024年12月までの3年間の開催される予定で、2024年には南海トラフ地震対策の共同研究を行う予定。研究の目標として「すべての被災者を支援する物流を実現する」ことを掲げている。