2024/01/08
令和6年能登半島地震
最大の被災地・奥能登へは国道249号だけが頼り

2024年元旦に発生したマグニチュード7.6の能登半島地震で、甚大な被害が発生している奥能登。輪島市、珠洲市、穴水町、能登町を含むこの地域につながる国道249号では、赤いテールランプを頻繁に光らせる車両が列をなしていた。
原因は道路の寸断。1月7日段階で奥能登に向かうには七尾市を経由し、国道249号で目指すしかない。七尾湾沿いを通る、この国道だけが頼りだ。内陸を走る「のと里山海道」は、地震の影響で七尾市の徳田大津インターチェンジから穴水インターチェンジまで通行止め。迂回できる七尾以西の道路も遮断されたままだ。代替ルートがなく、まさにボトルネックにおちいった状態。そのため国道249号の各地で渋滞が発生している。

国道は海岸に沿っているためにカーブが多い。そこに地震によって生じた多数の亀裂や隆起、陥没が加わり、行く手を阻む。タイヤのパンクを避けるためにも、路面を見ながら慎重に進む必要がある。穏やかな七浦湾内の水面を眺めている余裕はない。
国道は一部が片側通行になるだけではなく、迂回する必要もある。行き先を案内するのは、板に直筆で書かれた矢印だ。幅が車両1台分ほどの荒れた道を通過する。
穴水町の中心部に到着するのに、七尾市役所からかかった時間は約2時間だった。
奥能登からの帰路では、倒れた電柱のそばを慎重に通過。後方から来たサイレンを鳴らした救急車は、渋滞の間を縫うように七尾方面に向かった。緊急消防援助隊や自衛隊などの支援車両とすれ違うことも増えていった。
他の道路が復旧するまで車両の混雑は続き、渋滞の解消は難しいだろう。
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