医薬品を搭載したドローンが離陸(提供:JUIDA)

ドローン関連企業などでつくる日本UAS産業振興協議会(JUIDA:鈴木真二理事長、東京都文京区)は1月5日から、令和6年能登半島地震で甚大な被害を受けた奥能登地域で支援活動を開始した。ドローンを飛ばして孤立集落に医薬品を届けるなど、実践的な取り組みを続けている。

自衛隊の東部方面隊と災害時の応援協定を結んでいる同協議会は4日、輪島市からの要請を受け、被災地に入りニーズの確認と調査を開始。翌5日には会員企業と協力して支援体制を整え、ドローンを使った被害状況の把握、行方不明者の捜索などに乗り出した。

ドローンに医薬品を搭載(提供:JUIDA)

そのなかで、孤立状態の地域に物資が届かない問題が深刻化。特に医薬品については自衛隊員が被災者から必要な薬を聞き取って徒歩で届けていたことから、同協議会はドローンの活用を検討し、8日から本格的な輸送に着手した。災害時にドローンに物資を積んで届ける試みは全国で初めてという。

孤立地域の避難所に医薬品が到着(提供:JUIDA)

輸送にあたっては、被災地で活動する災害時派遣医療チーム(DMAT)や輪島市内の医療機関・薬局などと連携し、孤立地域の避難所とLINEグループを形成するなどして処方に必要な情報を収集。手配した医薬品を輪島文化会館でドローンに搭載し、避難所に飛行させて患者に届けた。

輸送は8日から11日にかけて、3キロ離れた避難所に計6回、9キロ離れた避難所に1回実施。その後、道路の開通にともない孤立地域は徐々に解消されつつあるが、被災地で活動を続ける同協議会の嶋本学参与は「降雨・降雪の影響による孤立の心配もあり、予断はできない状況にある」という。

14日には珠洲市からも要請を受け、活動の範囲を拡大した。嶋本参与は「被災地のニーズは刻々と変わっている」と指摘。同時にドローンが求められる場面も広がっているとし、地元行政や自衛隊、現地の活動組織らと連携しながら、新たな孤立地域や避難所の情報収集、港湾の被害調査、仮設住宅建設予定地の現況調査などを行っていく構えだ。

「ドローン技術は以前から、人が立ち入れない場所や空間の調査に期待されていた。が、災害時にこれだけ実践的に力を発揮したのは初めてのケース。被災地の役に立てる場面はこれからもまだ数多くある」とする。