2024/01/16
令和6年能登半島地震
ドローン関連企業などでつくる日本UAS産業振興協議会(JUIDA:鈴木真二理事長、東京都文京区)は1月5日から、令和6年能登半島地震で甚大な被害を受けた奥能登地域で支援活動を開始した。ドローンを飛ばして孤立集落に医薬品を届けるなど、実践的な取り組みを続けている。
自衛隊の東部方面隊と災害時の応援協定を結んでいる同協議会は4日、輪島市からの要請を受け、被災地に入りニーズの確認と調査を開始。翌5日には会員企業と協力して支援体制を整え、ドローンを使った被害状況の把握、行方不明者の捜索などに乗り出した。
そのなかで、孤立状態の地域に物資が届かない問題が深刻化。特に医薬品については自衛隊員が被災者から必要な薬を聞き取って徒歩で届けていたことから、同協議会はドローンの活用を検討し、8日から本格的な輸送に着手した。災害時にドローンに物資を積んで届ける試みは全国で初めてという。
輸送にあたっては、被災地で活動する災害時派遣医療チーム(DMAT)や輪島市内の医療機関・薬局などと連携し、孤立地域の避難所とLINEグループを形成するなどして処方に必要な情報を収集。手配した医薬品を輪島文化会館でドローンに搭載し、避難所に飛行させて患者に届けた。
輸送は8日から11日にかけて、3キロ離れた避難所に計6回、9キロ離れた避難所に1回実施。その後、道路の開通にともない孤立地域は徐々に解消されつつあるが、被災地で活動を続ける同協議会の嶋本学参与は「降雨・降雪の影響による孤立の心配もあり、予断はできない状況にある」という。
14日には珠洲市からも要請を受け、活動の範囲を拡大した。嶋本参与は「被災地のニーズは刻々と変わっている」と指摘。同時にドローンが求められる場面も広がっているとし、地元行政や自衛隊、現地の活動組織らと連携しながら、新たな孤立地域や避難所の情報収集、港湾の被害調査、仮設住宅建設予定地の現況調査などを行っていく構えだ。
「ドローン技術は以前から、人が立ち入れない場所や空間の調査に期待されていた。が、災害時にこれだけ実践的に力を発揮したのは初めてのケース。被災地の役に立てる場面はこれからもまだ数多くある」とする。
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
競争と協業が同居するサプライチェーンリスクの適切な分配が全体の成長につながる
予期せぬ事態に備えた、サプライチェーン全体のリスクマネジメントが不可欠となっている。深刻な被害を与えるのは、地震や水害のような自然災害に限ったことではない。パンデミックやサイバー攻撃、そして国際政治の緊張もまた、物流の停滞や原材料不足を引き起こし、サプライチェーンに大きく影響する。名古屋市立大学教授の下野由貴氏によれば、協業によるサプライチェーン全体でのリスク分散が、各企業の成長につながるという。サプライチェーンにおけるリスクマネジメントはどうあるべきかを下野氏に聞いた。
2025/12/04
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/12/02
-
-
-
-
-
-
目指すゴールは防災デフォルトの社会
人口減少や少子高齢化で自治体の防災力が減衰、これを補うノウハウや技術に注目が集まっています。が、ソリューションこそ豊富になるも、実装は遅々として進みません。この課題に向き合うべく、NTT 東日本は今年4月、新たに「防災研究所」を設置しました。目指すゴールは防災を標準化した社会です。
2025/11/21
-
サプライチェーン強化による代替戦略への挑戦
包装機材や関連システム機器、プラントなどの製造・販売を手掛けるPACRAFT 株式会社(本社:東京、主要工場:山口県岩国市)は、代替生産などの手法により、災害などの有事の際にも主要事業を継続できる体制を構築している。同社が開発・製造するほとんどの製品はオーダーメイド。同一製品を大量生産する工場とは違い、職人が部品を一から組み立てるという同社事業の特徴を生かし、工場が被災した際には、協力会社に生産を一部移すほか、必要な従業員を代替生産拠点に移して、製造を続けられる体制を構築している。
2025/11/20
-
企業存続のための経済安全保障
世界情勢の変動や地政学リスクの上昇を受け、企業の経済安全保障への関心が急速に高まっている。グローバルな環境での競争優位性を確保するため、重要技術やサプライチェーンの管理が企業存続の鍵となる。各社でリスクマネジメント強化や体制整備が進むが、取り組みは緒に就いたばかり。日本企業はどのように経済安全保障にアプローチすればいいのか。日本企業で初めて、三菱電機に設置された専門部署である経済安全保障統括室の室長を経験し、現在は、電通総研経済安全保障研究センターで副センター長を務める伊藤隆氏に聞いた。
2025/11/17






※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方