2024/09/21
防災・危機管理ニュース
【台北時事】レバノン各地で多数の死傷者が出たポケットベル型通信機器の一斉爆発で、台湾では世論を操作する「認知戦」への警戒が広がっている。爆発した機器の製造元が台湾メーカー「ゴールド・アポロ」と報じられたことから、SNS上で台湾非難の声が拡散。台湾当局は対応に乗り出した。
爆発を巡っては、イスラエルが敵対するレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラ構成員を標的に、通信機器に爆発物を仕込み遠隔操作で起爆させたとの臆測が出ている。ゴールド・アポロ社は声明で製造を否定しているが、中国のSNSでは台湾製品の危険性を指摘する情報が拡散。「やはり台湾独立分子は、イスラエル軍とつながっている」(中国の評論家)などと台湾独立と結びつける投稿もある。
これに対し台湾の顧立雄・国防部長(国防相)は20日、記者団に「台湾は(爆発に)関係していない」と断言。関係部署のデータに「認知戦とみられる操作の痕跡があった」と明らかにした。台湾法務部(法務省)調査局の元幹部・劉文斌氏は「こうした『国際認知戦』に政府が適切に対応しなければ、企業の損害だけでなく、台湾の国際的イメージが傷つけられ重大な結果になる」と警鐘を鳴らす。
台湾の検察は19日、真相究明のためゴールド・アポロ社幹部らを事情聴取した。捜査は台湾メーカーへの疑惑を強めるという見方もあるが、劉氏は「認知戦に対応する意味でも、当局が迅速に真偽を明らかにすることは正しい」と指摘。通信機器爆発の翌日に爆発した無線機が日本製とも報じられたことから、「日本も認知戦の攻撃を受けている可能性がある」と警告した。
〔写真説明〕社の公式声明を配る台湾メーカー「ゴールド・アポロ」の従業員=18日、新北市(EPA時事)
(ニュース提供元:時事通信社)

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