2024/10/27
防災・危機管理ニュース
【ニューヨーク時事】米航空機大手ボーイングが、労働組合によるストライキ収束のめどが立たず混迷を深めている。労組は経営側が示した4年間で35%の賃上げ案を拒否。一層の経営悪化は不可避の情勢だ。機体生産を担う日本企業を含むサプライチェーン(供給網)にも暗い影を落とす。
経営側と労組執行部は9月上旬、4年間で25%の賃上げを柱とした労働協約の締結で暫定合意した。だが、約3万3000人が加入する組合は物価上昇を十分に反映していないとして協約を却下。9月中旬から複数工場で16年ぶりとなるストに踏み切った。
大型機「777」などの生産に支障が出ており、経営側は事態打開に向け、35%の賃上げを再提案した。しかし、組合は今月23日の投票で改めて否決。混乱収拾の見通しが立たない状況だ。
スト長期化で日本企業にも打撃が及びかねない。機体胴体を手掛ける川崎重工業は生産ペースを落としているといい、「動向を見守るしかない」(関係者)と困惑気味。ボーイングの機体受注残高は9月末時点で5400機に上り、生産の停滞が続けば、航空各社は運航計画の見直しを余儀なくされるなど、影響はさらに広がりそうだ。
ボーイングの経営はストに加え、飛行中の機体の壁が吹き飛んだ品質問題もあり、悪化に歯止めがかからない。2024年7~9月期は61億7400万ドル(約9400億円)の巨額赤字を計上。立て直しに向け全従業員の1割に当たる1万7000人の削減を決めたほか、宇宙部門の一部売却も取り沙汰されている。
米国では来月5日に大統領選を控え、労組票を狙う民主、共和両党が労働者に寄り添う姿勢を競い合う中、今月には港湾労働者がストに踏み切るなど労働争議が活発化。米国野村証券の雨宮愛知シニアエコノミストは「インフレに対して賃金上昇が出遅れた産業では(ストの流れが)しばらく続く」と予想している。
〔写真説明〕米航空機大手ボーイングのストに参加する組合員=24日、ワシントン州シアトル(AFP時事)
(ニュース提供元:時事通信社)

防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/10/14
-
走行データの活用で社用車をより安全に効率よく
スマートドライブは、自動車のセンサーやカメラのデータを収集・分析するオープンなプラットフォームを提供。移動の効率と安全の向上に資するサービスとして導入実績を伸ばしています。目指すのは移動の「負」がなくなる社会。代表取締役の北川烈氏に、事業概要と今後の展開を聞きました。
2025/10/14
-
-
-
-
トヨタ流「災害対応の要諦」いつ、どこに、どのくらいの量を届ける―原単位の考え方が災害時に求められる
被災地での初動支援や現場での調整、そして事業継続――。トヨタ自動車シニアフェローの朝倉正司氏は、1995年の阪神・淡路大震災から、2007年の新潟県中越沖地震、2011年のタイ洪水、2016年熊本地震、2024年能登半島地震など、国内外の数々の災害現場において、その復旧活動を牽引してきた。常に心掛けてきたのはどのようなことか、課題になったことは何か、来る大規模な災害にどう備えればいいのか、朝倉氏に聞いた。
2025/10/13
-
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2025/10/05
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方