2025/01/10
防災・危機管理ニュース
【ラスベガス時事】米ネバダ州ラスベガスで開かれている家電・IT見本市「CES」では、トランプ次期米大統領の就任を20日に控え、参加企業から影響を見極めたいとの発言が相次いだ。電気自動車(EV)に逆風となる規制変更や、中国などに対する関税引き上げをはじめ、次期政権が進めるとみられる政策が注視されている。
◇生産、柔軟に調整
ホンダは新たに北米に投入するEVブランドの試作車を披露。ただ、次期政権はEVの普及を促してきた排ガス規制の緩和などを進める可能性があり、貝原典也副社長は「EV生産の時期や量については柔軟に対応していく」と語る。EV需要が想定通り伸びない場合、市場への供給を遅らせる構えだ。
ソニーグループとホンダが共同出資するソニー・ホンダモビリティは、第1弾となるEVの予約を米カリフォルニア州在住者を対象に開始した。川西泉社長は、トランプ政権発足がEV市場の重荷になるとの見方に関し、「一喜一憂するというよりは自分たちの本質を提供することが大事だ」とぶれない姿勢を強調。一方、「もともと販売台数を追わないと決めている」と、売れ行きを慎重に見積もっていることもうかがわせた。
◇テック市場を圧迫
トランプ氏が表明している中国への10%、メキシコとカナダへの25%の関税にも懸念が高まる。CESの主催団体は、パソコンなど消費者向けテクノロジー業界の米市場規模が2025年に前年比3.2%増の5370億ドル(約85兆円)に拡大すると発表したが、次期政権の関税政策で最大1430億ドル(約23兆円)下押しされる恐れもあると明らかにした。
CESで基調講演したパナソニックホールディングスの楠見雄規社長は、記者団に対し、傘下の電池事業会社が北米での材料調達を増やそうとカナダ企業と協力していることに言及。「いきなりカナダに関税をかけるのかと衝撃を受け、リスクを感じる」と驚きをあらわにした。
CESには関税引き上げで最も打撃を受けるとみられる中国企業も多く参加。高級EVメーカー「ジーカー」は3車種を展示した。担当者は米市場への参入について「政治環境が厳しく、具体的な計画はない」と述べたが、マーケティング部門を米国内に開設済みといい、「トランプ後」を見据えていた。
〔写真説明〕ホンダが新たに北米に投入する電気自動車(EV)ブランドの試作車=7日、米ネバダ州ラスベガス
〔写真説明〕中国の高級電気自動車(EV)メーカー「ジーカー」が出展したEV=7日、米ネバダ州ラスベガス
(ニュース提供元:時事通信社)


防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
白山のBCPが企業成長を導く
2024年1月1日に発生した能登半島地震で震度7を観測した石川県志賀町にある株式会社白山の石川工場は、深刻な被害を受けながらも、3カ月で完全復旧を実現した。迅速な対応を支えたのは、人を中心に据える「ヒト・セントリック経営」と、現場に委ねられた判断力、そして、地元建設会社との信頼関係の積み重ねだった。同社は現在、埼玉に新たな工場を建設するなどBCPと経営効率化のさらなる一体化に取り組みはじめている。
2025/08/11
-
三協立山が挑む 競争力を固守するためのBCP
2024年元日に発生した能登半島地震で被災した三協立山株式会社。同社は富山県内に多数の生産拠点を集中させる一方、販売網は全国に広がっており、製品の供給遅れは取引先との信頼関係に影響しかねない構造にあった。震災の経験を通じて、同社では、復旧のスピードと、技術者の必要性を認識。現在、被災時の目標復旧時間の目安を1カ月と設定するとともに、取引先が被災しても、即座に必要な技術者を派遣できる体制づくりを進めている。
2025/08/11
-
アイシン軽金属が能登半島地震で得た教訓と、グループ全体への実装プロセス
2024年1月1日に発生した能登半島地震で、震度5強の揺れに見舞われた自動車用アルミ部品メーカー・アイシン軽金属(富山県射水市)。同社は、大手自動車部品メーカーである「アイシングループ」の一員として、これまでグループ全体で培ってきた震災経験と教訓を災害対策に生かし、防災・事業継続の両面で体制強化を進めてきた。能登半島地震の被災を経て、現在、同社はどのような新たな取り組みを展開しているのか――。
2025/08/11
-
-
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/08/05
-
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2025/08/05
-
-
カムチャツカ半島と千島海溝地震との関連は?
7月30日にカムチャツカ半島沖で発生した巨大地震は、千島からカムチャツカ半島に伸びる千島海溝の北端域を破壊し、ロシアで最大4 メートル級の津波を生じさせた。同海域では7月20日にもマグニチュード7.4の地震が起きており、短期的に活動が活発化していたと考えられる。東大地震研究所の加藤尚之教授によれば、今回の震源域の歪みはほぼ解放されたため「同じ場所でさらに大きな地震が起きる可能性は低い」が「隣接した地域(未破壊域)では巨大地震の可能性が残る」とする。
2025/08/01
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方