2025/02/09
定例セミナーダイジェスト
水害BCPタイムライン研修講座
リスクトレンド研究会【特別編】 1月28日
香川大学IECMS地域強靱化研究センター准教授
磯打千雅子氏
国立研究開発法人防災科学技術研究所 水・土砂防災研究部門 上席研究員
酒井直樹氏

「自然災害+操業リスク」ふまえた対応行動を考える
リスクトレンド研究会は特別編として1月28 日、東京・千代田区の朝日ビル会議室で開催。香川大学IECMS 地域強靱化研究センターの企画で水害BCPタイムラインについての研修講座を実施し、同大学准教授の磯打千雅子氏が全体のコーディネートを行った。
磯打氏は企業が水害BCPタイムラインを作成する意味について、平成30年7月豪雨におけるアルミ工場の爆発や令和元年佐賀豪雨における鉄工所からの油流出の被害を紹介。「自然災害時に企業が地域に与える影響は少なからずある。このことをふまえておかないと、地域での仕事が難しくなる可能性がある」と話した。

こうした「自然災害+企業の操業リスク」をふまえてつくられた様式が水害BCPタイムライン。災害時における地域への配慮事項を自社のBCPで抽出しておくことを念頭に、発災前後3段階のフェーズごとに対応行動の洗い出しを行う。当日は主にフェーズ1(事前準備)とフェーズ2(災害警戒期)に必要な行動を、グループに分かれて話し合った。
ワークショップ終了後、参加者からは「行動のタイミングを決めるのが難しい。いろいろな会社と意見交換できてよかった」「時系列にそって考えることで頭を整理できた」「従業員の安心のためには事前に対応を決めて周知しておく必要があると思っていたので、とても参考になった」「南海トラフ地震の数日後に台風が襲うシナリオで経営層向けBCP訓練を行いたいと考えていた。持ち帰ってブラッシュアップしたい」などの感想が出された。

防災科学技術研究所の酒井氏は講評で「時系列の行動を決めておくことが重要で、行動を起こすにはトリガーが必要」と指摘。そのためにはワークショップでさまざまな人と話し合い、異なる意見をまとめていくことが役に立つといい「それぞれが持ち帰って会社や地域の人たちと話し、少しでも改善につなげてほしい」と述べた。
- keyword
- 防災
- BCP
- サイバーセキュリティ
- OTセキュリティ
- 能登半島地震
- 水害BCPタイムライン
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
-
備蓄燃料のシェアリングサービスを本格化
飲料水や食料は備蓄が進み、災害時に比較的早く支援の手が入るようになりました。しかし電気はどうでしょうか。特に中堅・中小企業はコストや場所の制約から、非常用電源・燃料の備蓄が難しい状況にあります。防災・BCPトータル支援のレジリエンスラボは2025年度、非常用発電機の燃料を企業間で補い合う備蓄シェアリングサービスを本格化します。
2025/04/27
-
自社の危機管理の進捗管理表を公開
食品スーパーの西友では、危機管理の進捗を独自に制作したテンプレートで管理している。人事総務本部 リスク・コンプライアンス部リスクマネジメントダイレクターの村上邦彦氏らが中心となってつくったもので、現状の危機管理上の課題に対して、いつまでに誰が何をするのか、どこまで進んだのかが一目で確認できる。
2025/04/24
-
-
常識をくつがえす山火事世界各地で増える森林火災
2025年、日本各地で発生した大規模な山火事は、これまでの常識をくつがえした。山火事に詳しい日本大学の串田圭司教授は「かつてないほどの面積が燃え、被害が拡大した」と語る。なぜ、山火事は広がったのだろうか。
2025/04/23
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/04/22
-
帰宅困難者へ寄り添い安心を提供する
BCPを「非常時だけの取り組み」ととらえると、対策もコストも必要最小限になりがち。しかし「企業価値向上の取り組み」ととらえると、可能性は大きく広がります。西武鉄道は2025年度、災害直後に帰宅困難者・滞留者に駅のスペースを開放。立ち寄りサービスや一時待機場所を提供する「駅まちレジリエンス」プロジェクトを本格化します。
2025/04/21
-
-
大阪・関西万博 多難なスタート会場外のリスクにも注視
4月13日、大阪・関西万博が開幕した。約14万1000人が訪れた初日は、通信障害により入場チケットであるQRコード表示に手間取り、入場のために長蛇の列が続いた。インドなど5カ国のパビリオンは工事の遅れで未完成のまま。雨にも見舞われる、多難なスタートとなった。東京オリンピックに続くこの大規模イベントは、開催期間が半年間にもおよぶ。大阪・関西万博のリスクについて、テロ対策や危機管理が専門の板橋功氏に聞いた。
2025/04/15
-
BCMSで社会的供給責任を果たせる体制づくり能登半島地震を機に見直し図り新規訓練を導入
日本精工(東京都品川区、市井明俊代表執行役社長・CEO)は、2024年元日に発生した能登半島地震で、直接的な被害を受けたわけではない。しかし、増加した製品ニーズに応え、社会的供給責任を果たした。また、被害がなくとも明らかになった課題を直視し、対策を進めている。
2025/04/15
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方