2025/03/04
防災・危機管理ニュース
【ワシントン、北京、サンパウロ時事】トランプ米政権は4日、国境を接するカナダ、メキシコからの輸入品に25%の関税を課した。中国には、2月4日に適用した追加関税にさらに10%を上乗せした。トランプ大統領は前日の記者会見で「膨大な量の合成麻薬フェンタニルが流入している」と批判。麻薬対策が不十分だと判断した。米国と3カ国が関税をかけ合う「貿易戦争」に発展し、世界経済が大きな打撃を受ける恐れがある。
米国とカナダ、メキシコは貿易協定を結び、一体的な経済圏を築いている。特に日本メーカーを含む自動車業界は国境を越えたサプライチェーン(供給網)を構築しており、事業戦略の見直しを迫られそうだ。トランプ氏は高関税により輸入コストを引き上げ、米国への生産拠点回帰を促し、製造業の振興につなげる考えだ。
カナダのトルドー首相は3日夜、米国からの輸入品1550億カナダドル(約16兆円)相当に25%の関税を課すと対抗措置を予告した。カナダでは米国への反発が広がり、「経済と家族を破壊するなら、米国への送電を止める」(オンタリオ州のフォード首相)といった強硬意見も出ている。
また、メキシコのシェインバウム大統領は4日、米国への対抗措置を9日に公表すると表明した。関税と非関税の対抗策を打ち出すという。シェインバウム氏は、メキシコから米国に流入したフェンタニルの押収量が昨年10月以降に50%減少したなどと、メキシコが米国に協力してきた成果を強調。「この(関税発動の)決定を支持する根拠はない」と訴えた。
一方、中国政府は4日、米国産の小麦やトウモロコシに15%、大豆や牛肉に10%の追加関税を課すと発表した。10日発動の予定。トランプ米政権による対中関税引き上げに対抗した形で、米中貿易摩擦の激化は必至だ。
トランプ氏は2月1日、不法移民と薬物の流入に「国家非常事態」を宣言。対抗措置としてカナダ、メキシコに25%、中国に10%の関税を課す大統領令に署名した。ただ、カナダ、メキシコによる国境警備強化の提案を受け、関税発動を1カ月猶予していた。
カナダ、メキシコはその後、閣僚や政府高官を米国に派遣し、米政権と国境対策のさらなる強化を協議。協力姿勢を示し、関税発動の停止を求めていた。
中国には2月4日に追加関税を発動。今回の措置で、中国への追加関税は20%となる。
〔写真説明〕トランプ米大統領=3日、ワシントン(AFP時事)
(ニュース提供元:時事通信社)

防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/05/20
-
永野芽郁と田中圭の報道から考える広告リスクタレントの不倫疑惑
「不倫報道で契約解除」は企業の広告・広報担当者にとって決して珍しい判断ではなくなりました。特に「B to C」企業は世間の空気に過敏にならざるを得ない構造があります。永野芽郁さんと田中圭さんという人気俳優による不倫報道が世間をにぎわせています。企業にとって本質的に問われるべきは、タレントの私生活そのものではなく「報道によって自社ブランドが受けるリスクをどう評価し、どう備えていたか」という事前準備と、報道後のブレない対応です。本稿では、広告タレント起用のリスクに対して、企業が準備しておくべきこと、そして“報道された時”にどう判断すべきかを整理します。
2025/05/20
-
-
-
「まさかうちが狙われるとは」経営者の本音に向き合う
「困った人を助け、困った人を生み出さず、世界中のデータトラブルを解決します」。そんな理念のもと、あらゆるデータトラブルに対応するソリューションカンパニー。産業界のデータセキュリティーの現状をどう見ているのか、どうレベルを高めようとしているのかを聞きました。
2025/05/13
-
-
-
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2025/05/05
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方