2025/03/07
防災・危機管理ニュース
「金利ある世界」が一段と進展してきた。6日の東京債券市場で長期金利が約16年ぶりの高水準となるなど最近の金利上昇を背景に、金融機関では住宅ローンや預金の金利を引き上げる動きが拡大する。現役世帯には逆風となる一方、預貯金など保有資産を押し上げる効果もありそうだ。
大手銀行は3月、住宅ローンの固定金利を引き上げた。代表的な期間10年の最優遇金利は、三菱UFJ銀行が0.17%引き上げ1.61%に、三井住友銀行が0.15%上げて2.15%にそれぞれ改定。住宅を今後購入する世帯の返済負担は増すことになる。契約者の7割超が利用し、短期金利に連動する変動金利は、新規契約は4月から、既存契約では7月返済分から現行より高い金利が適用されるケースが多くなりそうだ。
大手行や地方銀行では定期預金金利の引き上げも相次ぐ。メガバンク3行は3日、預入期間5年の金利は0.15~0.20%上げて0.40%に変更した。日銀による1月の追加利上げ後、各行は普通預金金利も引き上げている。
みずほリサーチ&テクノロジーズの服部直樹主席エコノミストは、日銀の政策金利が2026年度に1%(現行0.5%)に達している場合の影響を試算した。23年度に比べ、家計全体で預金や国債の利子収入などの増加が住宅ローンの利払い増を上回り、差し引き4.1兆円のプラスになると分析。服部氏は「住宅ローンなどの負債がある現役世帯ではマイナス影響が大きい」とも指摘する。
企業では、23年度時点で平均1.1%だった有利子負債利子率が26年度には2.0%に高まるとみる。名目GDP(国内総生産)拡大に伴って経常利益増が見込まれる半面、有利子負債への依存度が高い非製造業などで「大幅な減益要因になる可能性がある」(服部氏)という。
〔写真説明〕東京債券市場で長期金利が1.500%に上昇したことを示すモニター=6日、東京都中央区
(ニュース提供元:時事通信社)

- keyword
- 金利上昇
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
企業理念やビジョンと一致させ、意欲を高める人を成長させる教育「70:20:10の法則」
新入社員研修をはじめ、企業内で実施されている教育や研修は全社員向けや担当者向けなど多岐にわたる。企業内の人材育成の支援や階層別研修などを行う三菱UFJリサーチ&コンサルティングの有馬祥子氏が指摘するのは企業理念やビジョンと一致させる重要性だ。マネジメント能力の獲得や具体的なスキル習得、新たな社会ニーズ変化への適応がメインの社内教育で、その必要性はなかなかイメージできない。なぜ、教育や研修において企業理念やビジョンが重要なのか、有馬氏に聞いた。
2025/05/02
-
-
備蓄燃料のシェアリングサービスを本格化
飲料水や食料は備蓄が進み、災害時に比較的早く支援の手が入るようになりました。しかし電気はどうでしょうか。特に中堅・中小企業はコストや場所の制約から、非常用電源・燃料の備蓄が難しい状況にあります。防災・BCPトータル支援のレジリエンスラボは2025年度、非常用発電機の燃料を企業間で補い合う備蓄シェアリングサービスを本格化します。
2025/04/27
-
自社の危機管理の進捗管理表を公開
食品スーパーの西友では、危機管理の進捗を独自に制作したテンプレートで管理している。人事総務本部 リスク・コンプライアンス部リスクマネジメントダイレクターの村上邦彦氏らが中心となってつくったもので、現状の危機管理上の課題に対して、いつまでに誰が何をするのか、どこまで進んだのかが一目で確認できる。
2025/04/24
-
-
常識をくつがえす山火事世界各地で増える森林火災
2025年、日本各地で発生した大規模な山火事は、これまでの常識をくつがえした。山火事に詳しい日本大学の串田圭司教授は「かつてないほどの面積が燃え、被害が拡大した」と語る。なぜ、山火事は広がったのだろうか。
2025/04/23
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/04/22
-
帰宅困難者へ寄り添い安心を提供する
BCPを「非常時だけの取り組み」ととらえると、対策もコストも必要最小限になりがち。しかし「企業価値向上の取り組み」ととらえると、可能性は大きく広がります。西武鉄道は2025年度、災害直後に帰宅困難者・滞留者に駅のスペースを開放。立ち寄りサービスや一時待機場所を提供する「駅まちレジリエンス」プロジェクトを本格化します。
2025/04/21
-
-
大阪・関西万博 多難なスタート会場外のリスクにも注視
4月13日、大阪・関西万博が開幕した。約14万1000人が訪れた初日は、通信障害により入場チケットであるQRコード表示に手間取り、入場のために長蛇の列が続いた。インドなど5カ国のパビリオンは工事の遅れで未完成のまま。雨にも見舞われる、多難なスタートとなった。東京オリンピックに続くこの大規模イベントは、開催期間が半年間にもおよぶ。大阪・関西万博のリスクについて、テロ対策や危機管理が専門の板橋功氏に聞いた。
2025/04/15
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方