2025/03/13
防災・危機管理ニュース
北海道の北東に延びる千島海溝では、オホーツク海(北米)プレートの下に沈み込んだ太平洋プレートに複数の穴が開いていることが分かった。マントル深部からの熱い上昇流がこの穴を通り、千島火山帯のマグマと混合しているため、過去に巨大な噴火が発生したと考えられるという。
東北大地震・噴火予知研究観測センターの豊国源知助教や趙大鵬教授らが地震波を網羅的に解析し、日本列島や周辺の地下にあるマントルの構造を高い精度で推定した成果として、12日までに発表した。論文は米地球物理学連合(AGU)の専門誌に掲載された。
千島火山帯の北端に当たるロシア・カムチャツカ半島南部では、紀元前6440年ごろに巨大噴火があり、火口がクリル湖として残った。豊国助教は「火山の下にプレートの穴が存在し、マントルの熱い上昇流が発達している構造は東南アジアなどでも指摘されており、巨大噴火を説明する新しいメカニズムになり得るのではないか」と説明している。
地震波は、低温で硬い岩石では速く、高温で軟らかい岩石では遅く伝わる。このため、地震波が伝わる速さを解析するとマントルの構造が分かり、速さの向きによる違いからマントルの流れを可視化できる。
太平洋プレートは千島海溝と日本海溝、伊豆・小笠原海溝でマントルに沈み込み、スラブと呼ばれる。折れ曲がって一部が割れたり、裂けたりして穴が開くとみられる。伊豆・小笠原海溝では、スラブが下部マントルまで断続的に沈み込んでいることも判明した。
〔写真説明〕地震波の解析で推定したロシア・カムチャツカ半島付近のマントル構造。沈み込んだ太平洋プレート(スラブ)に穴が開いている(豊国源知・東北大助教提供)
(ニュース提供元:時事通信社)

防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/09/16
-
-
ラストワンマイル問題をドローンで解決へBCPの開拓領域に挑む
2025年4月、全国の医療・福祉施設を中心に給食サービスを展開する富士産業株式会社(東京都港区)が、被災地における「ラストワンマイル問題」の解消に向けドローン活用の取り組みを始めた。「食事」は生命活動のインフラであり、非常時においてはより一層重要性が高まる。
2025/09/15
-
-
機能する災害対応の仕組みと態勢を人中心に探究
防災・BCP教育やコンサルティングを行うベンチャー企業のYTCらぼ。NTTグループで企業の災害対応リーダーの育成に携わってきた藤田幸憲氏が独立、起業しました。人と組織をゆるやかにつなげ、互いの情報や知見を共有しながら、いざというとき機能する災害対応態勢を探究する同社の理念、目指すゴールイメージを聞きました。
2025/09/14
-
-
-
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2025/09/05
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方