2025/05/16
防災・危機管理ニュース
内閣府が16日発表した2025年1~3月期の国内総生産(GDP、季節調整済み)速報値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比0.2%減、この成長ペースが1年続いた場合の年率換算で0.7%減だった。マイナス成長は4四半期ぶり。物価高で個人消費が低調だった。
同時に公表した24年度の実質GDPは前年度比0.8%増と4年連続プラス。物価変動の影響を反映した名目GDPは3.7%増で、実額は616兆9095億円と、初めて600兆円を超えた。暦年では、安倍晋三首相(当時)が15年に掲げた目標を達成していたが、年度でも上回った。1992年度に500兆円台に乗せた後、32年かけて新たな大台に到達した。
1~3月期は内需の柱である個人消費が前期比0.04%増とほぼ横ばい。外食などサービス消費は伸びたものの、物価高による節約志向の高まりで食料品が落ち込んだ。設備投資は1.4%増で、ソフトウエアなどへの投資が増加した。
住宅投資は1.2%増、公共投資は0.4%減だった。民間在庫の寄与度は、プラス0.3%。
輸出は0.6%減と4期ぶりにマイナスとなった。統計上は輸出に計上されるインバウンド(訪日客)消費が増加。トランプ米政権による高関税の発動を控えた自動車の駆け込み輸出もあったが、海外から受け取る知的財産権の使用料などの落ち込みが響いた。
GDPの押し下げ要因となる輸入は2.9%増と2期ぶりのプラス。海外IT大手に支払うネット広告の利用料などが増えた。
GDPの増減に与える影響(寄与度)は内需がプラス0.7%。外需がマイナス0.8%だった。名目GDPは前期比0.8%増、年率換算で3.1%増。
国内経済の先行きについて、第一生命経済研究所の新家義貴シニアエグゼクティブエコノミストは「米政権の高関税発動で、4~6月期以降は輸出や生産の下振れが予想される。日本経済はショックに耐えられるだけの体力があるのか、不安が残る」と指摘している。
〔写真説明〕京浜工業地帯越しに見える富士山=2月9日、横浜市内(AFP時事)
(ニュース提供元:時事通信社)

防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
白山のBCPが企業成長を導く
2024年1月1日に発生した能登半島地震で震度7を観測した石川県志賀町にある株式会社白山の石川工場は、深刻な被害を受けながらも、3カ月で完全復旧を実現した。迅速な対応を支えたのは、人を中心に据える「ヒト・セントリック経営」と、現場に委ねられた判断力、そして、地元建設会社との信頼関係の積み重ねだった。同社は現在、埼玉に新たな工場を建設するなどBCPと経営効率化のさらなる一体化に取り組みはじめている。
2025/08/11
-
三協立山が挑む 競争力を固守するためのBCP
2024年元日に発生した能登半島地震で被災した三協立山株式会社。同社は富山県内に多数の生産拠点を集中させる一方、販売網は全国に広がっており、製品の供給遅れは取引先との信頼関係に影響しかねない構造にあった。震災の経験を通じて、同社では、復旧のスピードと、技術者の必要性を認識。現在、被災時の目標復旧時間の目安を1カ月と設定するとともに、取引先が被災しても、即座に必要な技術者を派遣できる体制づくりを進めている。
2025/08/11
-
アイシン軽金属が能登半島地震で得た教訓と、グループ全体への実装プロセス
2024年1月1日に発生した能登半島地震で、震度5強の揺れに見舞われた自動車用アルミ部品メーカー・アイシン軽金属(富山県射水市)。同社は、大手自動車部品メーカーである「アイシングループ」の一員として、これまでグループ全体で培ってきた震災経験と教訓を災害対策に生かし、防災・事業継続の両面で体制強化を進めてきた。能登半島地震の被災を経て、現在、同社はどのような新たな取り組みを展開しているのか――。
2025/08/11
-
-
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/08/05
-
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2025/08/05
-
-
カムチャツカ半島と千島海溝地震との関連は?
7月30日にカムチャツカ半島沖で発生した巨大地震は、千島からカムチャツカ半島に伸びる千島海溝の北端域を破壊し、ロシアで最大4 メートル級の津波を生じさせた。同海域では7月20日にもマグニチュード7.4の地震が起きており、短期的に活動が活発化していたと考えられる。東大地震研究所の加藤尚之教授によれば、今回の震源域の歪みはほぼ解放されたため「同じ場所でさらに大きな地震が起きる可能性は低い」が「隣接した地域(未破壊域)では巨大地震の可能性が残る」とする。
2025/08/01
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方