2025/05/20
防災・危機管理ニュース
【北京時事】中国が米国との関税戦争に対する「耐性」を高めている。貿易摩擦が激化した4月の鉱工業生産は前年同月比6.1%増と、伸び率は前月(7.7%)から鈍化したが、市場予想の5%台を上回った。政府が重視するハイテク産業の成長に支えられた。一方、これまで経済をけん引してきた労働集約型産業では先行き不安も強まっている。
「米関税の影響はほとんどない」。4月下旬に訪れた安徽省合肥で、省政府高官は取材陣にこう主張した。
安徽省は中国有数のハイテク産業集積地で、近年は電気自動車(EV)や人工知能(AI)関連の分野が発展。省幹部は「サプライチェーン(供給網)は国内でかなり整っている」と自信を見せる。フォークリフトを生産する安徽合力の周峻総経理は、米国の関税引き上げを見据え、海外での生産拡大や米国での在庫積み増しを進めてきたと明らかにした。
省政府によると、産業集積が急速に進んだのは2017年に発足した第1次トランプ政権との貿易戦争を受け、中国政府がハイテク産業の育成を加速させてからだという。先の幹部は「関税がなければ、これほど発展しなかったかもしれない」と振り返った。
4月の鉱工業生産では、ハイテク産業が10.0%増と急成長する一方、インドなどと競合する紡績業は2.9%増と伸びが縮小。世界最大の日用品卸売市場がある浙江省義烏では「工場の生産が止まった」といった声が漏れた。
オランダ金融大手INGは19日公表のリポートで、中国では関税の影響が「低価格品で大きくなっている」との見方を示した。
〔写真説明〕安徽合力のフォークリフト=4月21日、中国安徽省合肥
〔写真説明〕世界最大級の卸売市場「義烏国際商貿城」=4月25日、中国浙江省義烏
(ニュース提供元:時事通信社)


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