2015/02/26
防災・危機管理ニュース
南海トラフの巨大地震で津波の被害が想定される地域で、入院設備を持つ医療機関のうち20%近くに浸水のおそれがあるとする調査結果を国立病院機構「大阪医療センター」の研究グループがまとめた。
大阪医療センターの定光大海・救命救急センター診療部長のグループは、南海トラフの巨大地震について、国が公表した各市町村での津波の高さの想定や医療機関が立地する場所の標高などを分析し、被害を予測した。
津波の被害が想定される都府県は全国に24。入院設備を持つ医療機関が1万2000余りある。予測の結果、19%に当たる2341の施設に浸水のおそれがあることが分かった。浸水のおそれがある医療機関の割合を都府県別に見ると、高知県が224機関のうち64機関(73%)と最も高く、次いで徳島県が257機関のうち149機関(58%)。さらに和歌山県(56%)、宮崎県(54%)の順となった。東日本では、静岡県が26%、千葉県13%、神奈川県11%だった。これらの都府県には災害時の医療の拠点となる災害拠点病院が423あるが、このうち17%に当たる71施設に浸水のおそれがあった。浸水する病院の割合は、徳島県73%、高知県70%、宮崎県64%だった。さらに、最大震度6強以上の揺れが想定される133の災害拠点病院(21府県)のうち、2014年4月現在で耐震工事が行われていないか耐震性不明の施設が10病院あった。
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
白山のBCPが企業成長を導く
2024年1月1日に発生した能登半島地震で震度7を観測した石川県志賀町にある株式会社白山の石川工場は、深刻な被害を受けながらも、3カ月で完全復旧を実現した。迅速な対応を支えたのは、人を中心に据える「ヒト・セントリック経営」と、現場に委ねられた判断力、そして、地元建設会社との信頼関係の積み重ねだった。同社は現在、埼玉に新たな工場を建設するなどBCPと経営効率化のさらなる一体化に取り組みはじめている。
2025/08/11
-
三協立山が挑む 競争力を固守するためのBCP
2024年元日に発生した能登半島地震で被災した三協立山株式会社。同社は富山県内に多数の生産拠点を集中させる一方、販売網は全国に広がっており、製品の供給遅れは取引先との信頼関係に影響しかねない構造にあった。震災の経験を通じて、同社では、復旧のスピードと、技術者の必要性を認識。現在、被災時の目標復旧時間の目安を1カ月と設定するとともに、取引先が被災しても、即座に必要な技術者を派遣できる体制づくりを進めている。
2025/08/11
-
アイシン軽金属が能登半島地震で得た教訓と、グループ全体への実装プロセス
2024年1月1日に発生した能登半島地震で、震度5強の揺れに見舞われた自動車用アルミ部品メーカー・アイシン軽金属(富山県射水市)。同社は、大手自動車部品メーカーである「アイシングループ」の一員として、これまでグループ全体で培ってきた震災経験と教訓を災害対策に生かし、防災・事業継続の両面で体制強化を進めてきた。能登半島地震の被災を経て、現在、同社はどのような新たな取り組みを展開しているのか――。
2025/08/11
-
-
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/08/05
-
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2025/08/05
-
-
カムチャツカ半島と千島海溝地震との関連は?
7月30日にカムチャツカ半島沖で発生した巨大地震は、千島からカムチャツカ半島に伸びる千島海溝の北端域を破壊し、ロシアで最大4 メートル級の津波を生じさせた。同海域では7月20日にもマグニチュード7.4の地震が起きており、短期的に活動が活発化していたと考えられる。東大地震研究所の加藤尚之教授によれば、今回の震源域の歪みはほぼ解放されたため「同じ場所でさらに大きな地震が起きる可能性は低い」が「隣接した地域(未破壊域)では巨大地震の可能性が残る」とする。
2025/08/01
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方