南海トラフの巨大地震で津波の被害が想定される地域で、入院設備を持つ医療機関のうち20%近くに浸水のおそれがあるとする調査結果を国立病院機構「大阪医療センター」の研究グループがまとめた。

大阪医療センターの定光大海・救命救急センター診療部長のグループは、南海トラフの巨大地震について、国が公表した各市町村での津波の高さの想定や医療機関が立地する場所の標高などを分析し、被害を予測した。

津波の被害が想定される都府県は全国に24。入院設備を持つ医療機関が1万2000余りある。予測の結果、19%に当たる2341の施設に浸水のおそれがあることが分かった。浸水のおそれがある医療機関の割合を都府県別に見ると、高知県が224機関のうち64機関(73%)と最も高く、次いで徳島県が257機関のうち149機関(58%)。さらに和歌山県(56%)、宮崎県(54%)の順となった。東日本では、静岡県が26%、千葉県13%、神奈川県11%だった。これらの都府県には災害時の医療の拠点となる災害拠点病院が423あるが、このうち17%に当たる71施設に浸水のおそれがあった。浸水する病院の割合は、徳島県73%、高知県70%、宮崎県64%だった。さらに、最大震度6強以上の揺れが想定される133の災害拠点病院(21府県)のうち、2014年4月現在で耐震工事が行われていないか耐震性不明の施設が10病院あった。