「リスクマネジメントの実践から学ぶ」
簡易ボウ・タイモデルを体験

危機管理塾 5月27日

ANAホールディングスグループ総務部 担当部長(ERM担当)
平井康雅氏

危機管理塾をリアル開催。ANAホールディングスグループ総務部担当部長(ERM担当)の平井康雅氏がボウ・タイモデルについて発表

対策ベースでリスクを管理する簡易ボウ・タイを体験

危機管理塾は5月27日、東京・千代田区の朝日ビル会議室で開催した。ANAホールディングスでERMを担当する平井康雅氏が、航空業界で世界的に利用されているリスクマネジメント手法のボウ・タイ(Bow-tie)モデルを解説。また、簡易ボウ・タイモデルを使ったワークショップも行った。

平井氏は「リスクとは管理する対象」としたうえで、ボウ・タイの前提条件を解説。「何が受容可能なリスクかを決める」「リスクは対策(バリア)ベースで管理する」「見えないリスクは管理できない」などのポイントをあげ「すべてのリスクを完ぺきに抑え込むことは不可能。ゆえにリスクの発生・抑制のメカニズムを可視化し、共通言語化して対策を打つことでコントロール下に置く」と話した。

こうしたボウ・タイの考え方は「バリア・ベースドアプローチ」と呼ばれ、経営戦略上の高リスクを特定するための「リスク・ベースドアプローチ」と違い、高リスクを低減する対策の検討、実行、評価に有効という。活用場面は、主に日常的リスクマネジメントと危機管理にまたがる領域。「そこで最悪の事態が起きないようにするのが『ボウ・タイ』でいうところの対策。対策が有効ならリスクは低く、無効なら高くなる」とした。

平井氏はボウ・タイのリスク認識について、リスクマネジメント上で絶対に起こしたくないことを「(重大)結果」、コントロールできないことを「要因」(リスク源)、実行しなければならないことを「対策」、ひとまず起こしたくないことを「原因事象」(リスク)に分類すると指摘。これらの項目を並べ、相関関係を可視化ながら対策の有効性を検討するボウ・タイの手法とプロセスを説明した。

また「コントロールできないものはリスクではない。リスクはあくまで管理するもの」「そのうえでリスクの可視化の範囲を決め、そこから管理対象リスクを絞り、解像度を上げていく」など、実際の運用におけるポイントに言及。これらをふまえ、海外のトローリーバス運行を例に、簡易ボウ・タイモデルを使ったワークショップを行った。

簡易ボウ・タイモデルを使ったリスクマネジメントのワークショップを実施
参加者の声

・ボウ・タイモデルについて演習を通じて学ぶことができ、ありがとうございました。

・ボウ・タイモデルを体験でき、楽しかったです。

・早速活用し、社内に展開したいと思います。

・現在の当社の取り組み(リスクマネジメント)に比べ、非常に高度でソリッドなマネジメントを実施されており、印象深かったです。

・最初は難しく感じましたが、最後の解説である程度理解できました。ありがとうございました。


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