【カイロ時事】米軍の攻撃を受けたイランは、「中東地域の米市民・軍」(国営テレビ)を標的に報復に出る構えだ。米軍の駐留を受け入れている湾岸諸国は警戒を一段と強化。米政府は、イランの代理勢力が活動するレバノンやイラクの公館職員に国外に退去するよう指示した。
 報道によると、アラブ首長国連邦(UAE)のムハンマド大統領は22日、カタールのタミム首長、サウジアラビアの事実上の最高権力者ムハンマド皇太子、クウェートのミシャル首長と相次いで電話会談を実施。攻撃が地域情勢に及ぼす影響などについて協議した。
 4カ国とも駐留米軍を抱え、イランからの攻撃にさらされる可能性がある。また、イランが原油輸送の要路であるホルムズ海峡を封鎖すれば、産油国である4カ国には大きな痛手となる。電話会談では、イランの報復に協調して対応する方策も話し合ったとみられる。
 米海軍第5艦隊の司令部があるバーレーンは、緊急事態を想定して主要道路の利用を控えるよう国民に要請した。避難所33カ所も設置され、政府は職員の7割を在宅勤務とした。
 米軍は22日のイラン攻撃に先立ち、予想される報復への対策を講じたもようだ。AFP通信によれば、19日までにカタールの空軍基地の駐機場から、40機近い米軍機が姿を消した。機体をイランの反撃から守るためとみられる。
 米政府はまた、親イラン武装組織「カタイブ・ヒズボラ」が活動するイラクや、イランの支援を受けるイスラム教シーア派組織ヒズボラが拠点を置くレバノンの米公館職員の一部と家族に対し、治安悪化が見込まれるとして出国を命じた。 
〔写真説明〕アラブ首長国連邦(UAE)のムハンマド大統領=1月14日、アブダビ(EPA時事)

(ニュース提供元:時事通信社)